事情がある子どもたちが暮らす児童養護施設。笑顔で生活するためには?

微笑む少女 子どもの福祉

いろんな事情で家庭で暮らすことのできない子どもたちがいます。「そんな子どもたちが笑顔で暮らせるために必要なことは何なのか?」ということを考えていきたいと思います。

この記事では児童養護施設で暮らす子どもたちについて触れていますが、「そもそも児童養護施設ってなんだろう?」という人はこちらの記事を参考にしてみてください。

子どもたちが希望を持てるように

木の上で微笑む女の子

親の病気や経済状態の問題、虐待などの理由で家庭で暮らすことができない子どもたちは安心、安全で安定した生活を送るために保護され、乳児院や児童養護施設で暮らします。

それでも、慣れない集団生活や子ども同士の人間関係、職員との人間関係などで苦しむ子どもたちがいます。困っていることが言えず、信頼できる人がおらず、しんどい思いをしながら生活しなければならない子どもたち。

それはおかしいんです。子どもたちは悪くなくて、親や施設の大人の都合に振り回されている現状であってはいけません。では、子どもたちが一人でも多く未来に希望が持てるようになるためには?

  • 言いたいことが言えること
  • 自分らしくいられること
  • 自分の身を守れること
  • 嫌なことは嫌と言えること
  • 信頼できる大人がいること
  • 安心できる場所があること

そんな「当たり前のこと」が当たり前にできることが大切です。

施設内虐待の危険性

大きなライオンのぬいぐるみを持った女の子

子どもたちのために一生懸命に働く職員はたくさんいますが、時に立場の弱い子どもたちに対して高圧的であったり、理不尽な対応をする職員というのは存在します。

施設とは閉鎖的な場所です。どうしても大人の方が子どもより力を持ってしまうし、権力をにぎってしまいがちです。家庭に問題を抱え安全に暮らすことができない時、子どもたちは施設以外に行く場所がない場合があります。

その時、施設は生きていくために必要な場所で、職員はそのために必要な存在です。だから、子どもたちは施設の職員の顔色をうかがい上手く生活していける術を身に付けます。

そういう場所で、そのことを職員自身が自覚し傲慢にならないように意識しなくては、子どもたちを大人の思うように動かすようになってしまいます。

だからこそ、子どもたちに対しても異論を唱える者に対しても謙虚に、柔軟に考え方を変えていく必要があります。そうでなければ、長年培われた圧力による支配が当たり前になってしまいます。

大げさに聞こえるかも知れませんが、これは珍しいことではありません。どこの施設にも起こり得る危険性があります。だから、子どもの施設に限らず、高齢者施設や障害者施設でも虐待が起こるのです。

そんな現状をおかしいと思う人がいても何年もその状態が変わらないことは多々あります。そういう場合、理不尽な対応をする人は権力や影響力を持っている人の場合が多く、そんな人に対して誰も何も言えないということが起きるのです。

それでも、もしも誰かが勇気を出して現状に問題提起をしたなら、他人事ではなく誰もが一度自身の行動を振り返ってみなければいけません。そういうことがまかり通ってしまっている現場では、少なからず誰もが影響を受けて感覚が鈍っている場合があるからです。

ただ「これまでやっていたから」「こういうものだから」という理由じゃなく、違う意見を言われた時に「なるほどな、そういう考え方もあるのか」という受け止め方ができることが重要です。

そして、今一度「自分のやっていることは本当にこれでいいのか」「子どもたちのためにどうしていくべきか」ということを考えることが必要です。

子どもたちにとって心のよりどころになること

微笑む女の子と小さな子どもを抱く女性

時間ややることに追われ、さらに理不尽な人間関係の中で精神をすり減らして働いていると職員も心が病んでいきます。のびのび働ける場所でないと息が詰まって次第に追い詰められていってしまうのです。

子どもたちに対しても、施設のルールというものさしで計って、そこに順応できない子どもたちに厳しくしたり、「問題=悪」という考え方で問題を起こさないようにすべき、という空気感が存在します。

でも、いろんな心の傷を持っている子どもたちに一番必要なのは、問題を起こさないように厳しくすることよりも、まず心のよりどころとなれる場所を作ることだと思います。

何かに失敗した時、自信を失ってがんばれなくなった時、施設を出てから何かにつまづいた時に相談できる場所、話を聞いてそこからどうしたら良いか一緒に考えてくれる人が大切になります。

自立して施設を出たとしても頼れる家族がいない子どもたちもいます。実際に身寄りがなかったり、家族はいても関係が悪く関わることが子どものためにならなかったりする場合です。

18歳になると施設を出なければならないのですが、その年で自分の力だけで生きていかなければならない現実。「自分だったら…」と想像してみてください。その不安は計り知れません。

親と離れ、施設で育ったことで苦労することはたくさんあると思います。それでも、何かに困った時に頼れる場所があるかどうかは重要な問題です。

そこから立ち直れず、学校を中退してしまったり、仕事を辞めてしまったりする子どもたちも多いのです。厳しいだけでは、何かに失敗した時、不安な時、言いにくいことを相談できなくなってしまいます。

施設を出てからも、その後の人生をそっと見守り、何かあった時に一緒に考えてくれる存在が必要です。そのためにも、大人を信用できなくなってしまった子どもたちが心を開いて、信頼できる関係性を作ることがとても大切です。

過去の経験から学んだこと

光の中でたたずむ女の子

実際にわたしも施設で働いた経験がありますが、わたし自身も大人の都合で子どもたちに接して仕事をしていました。大人の都合によるルールが最初からあったので、それを疑いもせずにそのレールに乗ってしまいました。

みんなが、何よりも組織の上層部がやっているやり方が正しいのだと信じ、無意識に影響力の強い人たちと上手くやっていけるようにしていました。

その結果、子どもが何か問題を起こして訴えていても、その時に本当に気付かなければいけないことに気付くことができませんでした。

周りの職員の顔色や空気を気にして、表面化している問題を何とか早く終息させることにばかり目が行き、目の前の子どもが抱えている問題の本質に目が向いていませんでした。

子どもはこの大人が本気で自分と向き合ってくれているかを敏感に感じ取ります。かけられた言葉が、本当に自分のためを思って言ってくれているのかどうかも見抜きます。

だから、わたしは「仕事」に対して一生懸命でしたが、本当に子どもたちの心に向き合うことはできていなかったんだと後になってから気付きました。

子どもが何か問題を起こしている時、それは何かのSOSのサインのはずです。だけど、表面化している問題だけしか見えておらず、その奥のSOSに、本当に求めているものに気付くことができていなかったのです。

表面的な問題しか見えていなかったことで、表面的な対応しか出来ていなかったんだなと思います。

そんなわたしの言葉だから子どもたちにも届かず、問題の対処はしてもそれが繰り返されてしまう。本当の意味で解決はできていなかったんだなと痛感しました。

大切なのは、今起きている問題をいかに早く解決するかじゃなく、目の前の子が何に課題を抱えているのか探すこと、何に苦しんでいるのか、子どもの心の声を聞くこと。そして、

  • その子のありのままを受け入れること
  • その子の言葉を否定せず真摯に受け止めること
  • 子どもの絶対的な味方でいること

そこから、その子がこれからの人生を前向きに生きていくために、どうすればいいか一緒に考えていくことが何よりも必要だったと思っています。それが子どもたちと関係を築いていくということなんだと思います。

職員を大切にすることは子どもを大切にすること

手を重ねる人々

子どもたちにとって、生活しやすい施設というのは子ども同士や職員との人間関係が良好な施設だと思います。とりわけ、職員との関係は重要です。

子ども同士でトラブルがあったり、施設のルールが窮屈だったり、いろんな問題があったとしても、それを話せる職員がいて、一緒にどうしていったらいいか考えてくれる施設ならば、子どもたちにとって大切な場所になると思います。

そして、そんな風に信頼できる職員がずっとそばにいてくれることが子どもたちの安心にも繋がると思います。

それは職員が、子どもたちの日々の生活のお世話だけでなく、子どもたちのいろんな悩み事を聞いたり、将来の進路や受験、就職などについても深く関わっていくからです。子どもの気持ちや希望を聞き取りながら、これからの人生に関わることを一緒に考えていきます。

そんな大事な役割を担う職員は、子どもたちにとっても、大きな存在です。信頼できる人に相談したいし、一緒に考えてほしいと思います。

が、ハードな勤務体制や職員同士の人間関係など問題はたくさんあり、施設の職員の離職率は高いです。

職員のことを大切にする施設は、勤務体制の改善を図ったり、部下の話を真剣に聞いてくれたり、職員のこともちゃんと考えてくれるので働きやすくなります。

そうすると、職員も心身ともに元気になり心に余裕ができるので、より子どもたちのことを大切にできるようになります。

そして、そんな風に人を大切にできる施設では、一緒に働きたいと思える人がいると思います。人として尊敬できる、魅力のある人ですね。そんな風に思える人がいるというのはとても大切です。

いいチームワークの場所で働けたとしても、大変なことがたくさんある仕事です。そんな中、何か壁にぶつかっても、一緒に頑張れる人がいると乗り越えることができます。

そんな魅力的な人がいる施設は、子どもたちへいい支援をするためには、それを支えてくれる職員を大切にすることが大事だということを知っています。

ある施設の園長先生が「職員は宝」だと言っているというのを聞いたことがあります。わたしはそれを聞いた時、衝撃を受けました。そんな風に考えられる人がいるのかと本当に驚きました。そんな人の元には、「ここで働きたい!」と言ってくれる人が集まってくるのだと思います。

そうして、施設をいいものにしようと本気でやっていれば、少しずつ変化が出てくるはずです。施設が子どもたちのことも、職員のことも大切に考えられると、働き続けてほしい職員が辞めにくくなります。

職員が短い期間で辞めていくのは、その職員を慕っている子どもにとって悲しいことです。保護者と一緒に暮らせない中、施設でやっと見つけた信頼できる大人をまた失うことになるので、そのショックから見捨てられたと感じることもあります。

そうして、悲しい感情が「どうせ、職員はいなくなる」のだと大人を信じることを諦めてしまう子もいます。子どもたちのことを大切に思ってくれる職員が長く働いてくれることが子どもたちや施設にとって望ましいことです。

施設を出てから、里帰りをしに施設に立ち寄った時、知っている職員がいないという状況は寂しいですよね。慕っていた職員が「おかえり」と笑顔で迎えてあげられるような施設が増えればいいなと思います。

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