児童養護施設で暮らす子どもたちのためにどんな施設を目指せばいいの?

笑っている女の子と男の子 子どもの福祉

児童養護施設で暮らす子どもたちにとって、生活しやすい施設とはどんなものなのでしょうか?施設で働いて見えてきた、施設の目指す方向について書いていきたいと思います。

前回は、「児童養護施設の抱える課題にどう対応したらいいの?」ということについて紹介しました。その記事はこちら↓↓

児童養護施設の抱える課題にどう対応したらいいの?
前回は、児童養護施設の抱える課題について紹介しました。今回は、その課題に対してどう対応したらいいのか書いていきたいと思...

子どもたちにとって良い施設ってどんなもの?

クマのぬいぐるみを抱いて寝転ぶ女の子

施設で暮らさなければいけない子どもたちにとって、施設は「生活の場」です。学校や友人の家のように、出かける場ではなく、帰る場所です。そんな生活の場は多くの人の場合、家族と暮らす家です。

でも、施設は家族ではなく他人と集団生活をすることになります。親の代わりになる職員も複数いて、交代勤務なのでいろんな人と関わっていかなければいけません。

そんな場所で、子どもたちにとって暮らしやすい施設を目指すにはどんな状態が望ましいのでしょうか?

  • 安心、安全であること
  • 信頼できる職員がいること
  • 自分らしくいられること
  • 家庭に近い環境であること

それでは、一つずつ説明していきましょう^^

安心、安全であること

眠っている女の子

施設で暮らす子どもたちにとって、生活の場が「安全」で「安心」できるものになっていることは一番重要で、かつ必須条件です。家庭で生活するのに問題があり、安心や安全が確保できない状態だから保護されています。

なので、安全で安心できる環境でなければ施設に来た意味がありません。子どもたちの自由が脅かされず、ほっとできる場所でなくてはいけません。

人と関わりたい子、そっとしておいてほしい子、マイペースな子、子どもの数だけ子どもたちのペースがあって、それが尊重される環境が望ましいです。

ただ、いろんな背景を抱えた子どもたちが集団で生活していて、いろんな職員もいます。子どもたち一人ひとりのペースを尊重するには、高い意識を持った職員集団であることが必要です。

子どもたちは最初は難しくとも、みんなで気持ちよく生活できるように協力し合える環境は職員が率先して作っていかなければなりません。

そして、子ども同士や職員によって、子どもたちの安心や安全が脅かされるようなことは絶対に許してはいけません。暴言や暴力、パワハラなど、子どもたちが苦しむようなことがあった場合は、施設全体で問題意識を持って解決に全力を尽くすことが大事です。

まずは、両者の話をしっかり聞いて、どうしたら解決することができるかを模索します。ただ、問題が解決されず、辛い思いをした子どもが、その状況に耐えて苦しみ続けなければならないような状況は絶対に回避すべきです。

なので、その問題の程度や深刻度によっては、被害者となった子どもを守るために必要な措置や処遇も考えなければなりません。

信頼できる職員がいること

抱き合う女性と女の子

施設では、一緒に生活する子ども同士の関係も大切ですが、職員との関係もとても大切になってきます。

家庭で保護者と良好な関係で生活することができなかったため、その保護者と離れて暮らすということになったわけですが、保護者と離れたからそれでOKというわけではありません。

子どもたちの人生はこれからも続きます。長い人生を歩んで行く中で、必ず人と関わって生きていきます。その人生の中で最初に深い人間関係を築くのは家庭の中です。

その家庭の中で、親子の関係が上手くいかなかったり、十分に愛情を感じられなかったり、自分のことを受け入れてもらう経験が出来なかった場合、子どもたちの中に深い傷を残します。

人にありのままの自分を受け入れてもらったり、認めてもらったりすることで、自分に自信がついたり、自己肯定感が育っていきます。

なので、傷を負った状態で施設に来て、「自分は自分のままでいい」と思えたり、自分に自信を持てるようになるには新しい人間関係の中でありのままの自分を受け止めて、受け入れてもらえる経験が必要です。

信頼できる職員に出会えることは、その子どもがこれから生きていく為にとても大切です。ただ、傷ついた子どもたちは大人を信じていなかったり、信じようとしないこともあります。

また、信じたいし、ありのままの自分を受け入れてもらいたい、だけど本当に受け入れてくれるか分からない怖さや不安から、「試し行動」をする子どももいます。

試し行動とは?

子どもが自分をどのくらい受け止めてくれるか探る為に、わざと相手が困るようなことをすること。2歳頃から始まり、施設で暮らす子どもたちにも多く見られる。

あの手この手でわざと職員を困らせるようなことをしたり、暴言を吐いたり、反発したり…そうして、どんな自分も見捨てずに受け入れてくれるか試しているのです。

でも、職員も人間です。それが辛くて、受け止めきれずに心が折れてしまう職員もいます。そんな大変な仕事だからこそ、職員は一人で抱えんじゃダメなんです。職員はチームになって、フォローしたり、役割分担をしながら協力し合わないとやっていけません。

助け合えるチームの中で、子どもたちと信頼関係を築いていくことが、職員と子どもたちが長く付き合っていける秘訣だと思います。

自分らしくいられること

お絵描きをしている男の子
  • 自分が自分らしくいられること
  • 言いたいことが言えること

これもとっても大切です。誰かに気を遣っていたり、誰かの顔色を窺うような状況では、自分らしく、言いたいことを言うことはできません。

それでは、安心して生活できていることにもなりません。誰かに心を支配されている状態です。「自分は自分のままでいいんだ」「言いたいことを言っていいんだ」と子どもたちが思えるようになるには、ありのままの自分を受け入れてもらうことが必要です。

それを子どもたちが得るには、職員の誠実な姿や優しさ、いつも変わらない温かい態度が必要です。職員にも強い意志と根気がいるし、生半可なことではありません。でも、その先に子どもたちの本当の笑顔があるのではないかなと思います。

家庭に近い環境であること

日差しが差し込むリビングルーム

また、環境の面でいうと、家庭に近い環境が望ましいです。大きな建物に大人数の子どもたちが暮らす施設の形は減ってきているかも知れませんが、まだまだあります。

そういった形だと、職員も多くの子どもたちを一度に見なくてはいけないし、一人ひとりの子に目が行き届きにくくなってしまいます。

また、より集団で生活することは、子どもたちにとっても人間関係が複雑であったり、プライバシーの確保がしにくかったり、集団で過ごす為のルールが多かったり、ストレスが溜まりやすいです。

そこで、近年良いとされているのが家庭に近い環境で子どもたちが生活でき出来る施設です。大きな施設の中に、ユニットという部屋が分けられていて、小さい単位で生活ができたり、建物自体が小さく、そこで生活する子どもたちも少ないものなどがあります。

ユニットの中に、

  • お風呂
  • トイレ
  • キッチン
  • リビング
  • 個室

など、生活に必要なものが揃っていることが多いです。

わたしの働いていた施設は、このユニット制で、食事は食堂でメインの料理が作られていました。それを各ユニットに運びます。ご飯を炊いたり、副菜は各ユニットで作っています。

食堂で食べずに各ユニットで食べることや、各ユニットで調理するのは、少しでも家庭に近い環境に近付けるためです。

いつも、食堂で調理された食事だけを摂るより、ユニットで調理する前の「食材」を見たり、実際に調理するところを見ることができます。そうした過程を見ることができるのもメリットです。

そして、普段は献立が決まっていますが、子どもの誕生日にはその子が食べたいものを決めて、一緒に買い物に行きます。スーパーで一緒に買い物し、この日はユニットで全て調理します。子どもたちと一緒に調理したりもします。

また、グループホームと言って、集団で生活する施設とは性質の違うところもあります。グループホームは、普通の一軒家に子どもたちが暮らしています。定員は6人と少人数で、地域の中で地域と関わりながら暮らします。

普通の一軒家なので、みなさんがイメージする家そのものです。そこで生活するのが一般家庭でなく、施設で生活する子どもたちというだけです。また、一定の決められた職員が交代で働きます。

そこでは、生活の全てをグループホームで行うので、食事の献立を決めたり、買い物に行ったり、調理したりするのも全てグループホームで行います。一番小さな規模の施設がグループホームで、より家庭に近い環境ということですね。

また、子どもが少人数の方が職員がより子どもと関わる機会がとりやすくなります。個別に関わる時間がとりやすいこともメリットです。

グループホームについては、次の記事で詳しく書きたいと思います。メリットだけでなく、デメリット、気を付けるべき点についても紹介します。

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