里親として、里子を家庭に迎えたら。どんなことに気を付けたらいい?

黒髪パーマの小さな男の子 子どもの福祉

前回は、「里親とは何か?」ということと「里親になるための7つのステップ」について紹介しました。

今回は、「里親として里子を迎え入れたらどう対応したらいいのか?」「何に気を付けたらいいのか?」ということについて紹介したいと思います。

試し行動と赤ちゃん返り

手を繋ぐ赤ちゃん

里子を正式に家庭に迎え入れることになったら、ドキドキとワクワクした生活が始まりますね。嬉しい反面、楽しいことばかりではないかも知れません。

子どもは、新しい場所で本当に自分のことを受け入れてもらえるのかどうか不安でいるはずです。最初は愛想よく、言うことを聞いて「いい子」を演じることがあります。自分のことを気に入ってもらおうとするからです。その次に、「試し行動」をする時期があります。

試し行動とは?

自分のことをどのくらいまで受け止めてくれるのか探るためにわざと困るようなことをすること。

わざと反発したり、暴言を吐いてみたり、いたずらをしてみたりします。そして、それに対してどんな反応をするのか見ているのです。また、「赤ちゃん返り」という行動をとることもあります。

赤ちゃん返りとは?

子どもが赤ちゃんに戻ったかのような行動をすること。

これまではできていたことができなくなったり、年齢よりも幼い行動をとるようになります。赤ちゃんに返ったように泣いたり甘えたり、自分のことを全部やってもらいたがったりすることもあります。

頭では理解できるかもしれませんが、実際に目の前で困ったいたずらや、赤ちゃんのように甘えられても戸惑ってしまうかもしれませんね。でも、これは子どもたちにとって大切なことなのです。

どうして試し行動、赤ちゃん返りが起こるの?

悲しそうな表情の女の子

どうして、試し行動や赤ちゃん返りが起きるのでしょうか?それは、本来甘えられるはずの環境で十分に甘えられたり、愛情を感じることができなかったからです。

もとの家庭で十分に甘えたり、愛情をかけてもらうことのできなかった子どもは、本来満たされるはずの欲求を満たされずに育ちます。「本当はもっと甘えたい」「もっと自分を見てほしい」そんな本当の気持ちを我慢して寂しい思いをして過ごします。

そういう状態で育つと、自分を肯定する力が育たなかったり、自信をもつことができなかったりします。無条件で受け入れてもらえる経験がないことで「ありのままの自分でいいんだ」と思うことができません。

大人の顔色をうかがって怒られないように、機嫌を損ねないように…と気を遣って生活していた子どもにとって、新たな家庭の中に入るということは期待だけでなく不安や複雑な気持ちに戸惑うのではないでしょうか。

実の親に受け入れてもらえなかったことで、目の前の大人は「本当に自分を受け入れてくれるんだろうか?」と不安を感じます。それが、これから一緒に暮らしていこうとしている大人ならなおさらです。

「自分のことを受け入れてほしい」「どんな自分も受けとめてほしい」そんな感情が湧いてくるのだと思います。

そこで、飲み物をこぼしてみたり、物を壊してみたり、部屋をぐちゃぐちゃにしたり…。叱られるであろう行動をわざととって、「それでも」自分のことを見捨てたりせず向き合ってくれるか、受け止めてくれるか試しているのです。

そんな子どもの行動の大変さは、実際に体験してみないと分からないものだと思います。どんなに頭で理解していても、いざ目の前でされると腹が立ったり、どうしていいか分からなくなると思います。里親としてどう対応すべきか悩むところです。

また、赤ちゃん返りも同様です。家庭で十分に甘えることができなかった反動から、年齢に合わない甘え方をするのです。それは、いわば赤ちゃんの頃に戻って甘え直しているようなもの。

甘えて、それを受け止めてもらって、赤ちゃんの時に感じたかった無償の愛を全身で感じたいのではないでしょうか。

そんな試し行動や赤ちゃん返りは、子どもの「育て直し」にとても重要です。家庭で経験できなかった、愛情を感じて育つという体験を、もう一度幼いころに戻って体験し直しているのです。

試し行動や赤ちゃん返りにどう対応したらいいの?

じっと上を見上げる男の子

育て直しが必要な子どもたちにとって、試し行動や赤ちゃん返りは意味のある大切なメッセージです。でも、そうは分かっていても困ってしまう試し行動や赤ちゃん返り。それには、どう対応したらいいのでしょうか?

実際の試し行動や赤ちゃん返りの程度や状況は様々だと思いますが、大事なことは子どもと向き合うことだと思います。「子どもの行動をすべて受け入れるべき」と言っているわけではなく、子どもがどういう状態なのか、どういう気持ちでいるのか理解しようとする姿勢が大切なのだと思います。

試し行動や赤ちゃん返りをしている里子に対し、世間体を気にして「赤ちゃんみたいなことをしてはずかしい」「もっとちゃんとしなさい」と言ってしまうことがあるかもしれません。

また、世間の常識に当てはめて「この年齢でこんなことをするのはおかしい」「悪さばかりしてひどい子だ」と言ってしまうこともあるかもしれません。

でも、子どもたちも好きでそんなことをしているわけじゃありません。子どもたちは、自分を受け入れてくれる人は誰なのか必死に探しているんじゃないでしょうか。自分にとっての信頼できる、心を預けられる存在を求めているのだと思います。

無条件で受け入れてもらえるはずだった家庭でそんな経験ができなかったことで、一生懸命に過去を取り戻そうとしているのではないかなと思います。

里子を受け入れたのは大人の都合です。今度は子どもの行動に困ったからと言って、また大人の都合で頭ごなしに怒ってはいけません。できる範囲で子どもの「自分のことを見てほしい」「甘えたい」という気持ちを受け止めてください。

大事なことは、どんな行動でも受け入れるということではなく、行動のもととなっている子どもの気持ちを受け止めることです。やっていることがだめなのであれば、ダメなことはダメ、でも「その行動の真意は?」「なぜそれをするのか?」を大人が理解しようとしなくてはいけません。

「甘えたかったんだね」「かまってほしかったんだね」など子どもの気持ちに気付いて言葉にすることも大切です。本当の気持ちに気付いてもらったり、本当の自分を受け入れてもらえた時、子どもは少しずつ心を開くのではないのかなと思います。

とは言え、「子どもを受け入れなきゃ」「理解してあげなきゃ」と無理をして心や体のバランスを崩しては元も子もありません。できるだけ抱え込まずに、相談機関に相談したり、専門家に相談したりしましょう。

ただ、まずは困っていることや難しいと感じていることを夫婦で共有し、どう育てていきたいのか何度も考えることが大切です。答えが出なくても、里子のために一生懸命考えるその過程が大切だと思います。

その上で、どう対応したらいいのか分からないことは、里親の経験者や専門家に話を聞いてもらうことや体験談を聞いたり、アドバイスを受けるといいと思います。

子どもとどう向き合うか

手を重ねる赤ちゃんと大人の手

実子の子育てでも、人を育てるということはマニュアル通りにいくことではなく、十人十色それぞれの子育てのあり方があると思います。もとの家庭で辛い経験や悲しい経験をしている子どもたちならなおさらです。

初めから最後まで「いい子」でいることの方が不自然です。人間ですから、上手くいかないことがあって当たり前です。ケンカをしたって、ぶつかったっていいと思います。

思っていることを言葉にして伝えることも大事です。言わなきゃ伝わらないことはたくさんあります。ただ、ケンカをしたり、ぶつかること、気持ちを伝えるにしても相手のことを思う気持ちを忘れてはいけません。

「誰より傷ついているのは子どもなんだ」ということを忘れてはいけません。それを分かった上で、自分の思いを伝えるといいと思います。

相手を非難するための言葉ではなく、子どもを理解したい、子どものために寄り添いたいという気持ちが前提としてあるからこそ気持ちが伝わるのだと思います。

ケンカをしても、「あなたのことが大切だよ」というメッセージは常に伝えてあげてほしいと思います。心の底の基盤となる部分が不安定なままでは、心が満たされて成長していくのは難しいと思います。

できるだけ早い段階で、「ありのままの自分でいいんだ」と思えるような人との信頼関係を築くことが重要です。それには、たくさんの時間と労力が必要かもしれませんが、それが里親として子どもを育てるということなのだと思います。

一筋縄ではいかない、人一倍大変なことを乗り越えていかなければいけないからこそ、里親を目指す人は経済的、精神的、時間的にも比較的余裕のある状態が望ましいと思います。

子どもが何らかの行動を起こした時、何らかのメッセージを発信している時に、子どもの心の状態を正しく理解して寄り添うだけの余裕がなければお互いに苦しくなってしまうのではないかと思います。

決して楽なものではないと思いますが、ひとりでも笑顔で人生を楽しんで生きていける子どもたちが増えることを願っています。そのために、一人ひとりができることをしていきたいですね。

それは里親になるということだけではなく、里親や里子、家庭で暮らせない子どもたちのことについて、理解するということだけでも大きな意味があると思います。

そんな子どもたちがいることを知って、偏見や差別をすることなく、温かい目で見守ってくれる人が増えることで、子どもたちを取り巻く環境は変わっていくと思います。そんな温かな空気が広がっていくことを願っています。

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