児童養護施設の抱える課題にどう対応したらいいの?

拳を合わせている人々 子どもの福祉

前回は、児童養護施設の抱える課題について紹介しました。今回は、その課題に対してどう対応したらいいのか書いていきたいと思います。

「児童養護施設の抱える課題ってどんなもの?」についてはこちら↓↓

児童養護施設の抱える課題ってどんなもの?
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課題に対してどうすればいいの?

話し合う女性たち

前回紹介した児童養護施設の抱える課題に対して、やってみるといいものがこちらです。

  1. 目指す施設のビジョンを明確にする
  2. 成功した施設の事例を参考にする
  3. 施設の中をオープンにする
  4. 自己評価・他己評価をつける
  5. アルバイトやボランティアの力を借りる
  6. 問題を見過ごさない姿勢を徹底する

それでは、一つずつ説明していきたいと思います。

1.目指す施設のビジョンを明確にする

2021年の目標を書く用紙

どんな施設にしたいのか、強い意志をもった施設のトップが必要です。子どもたちにとって、そこで働く職員にとってどんな施設を目指すのか、どんな施設が必要なのか。まずは、その思いがなければいけません。

なので、名前だけの施設のトップや、現場経験がなかったり、経営のことだけにしか興味がなく、現場のことを知ろうとしない人には向いていません。

どんな施設を目指すか、そのビジョンを明確にするには、現状と課題を知っていなければいけません。知った上で、「いい施設を作りたい!」という熱い思いの持った人に運営してほしいと願います。

2.成功した施設の事例を参考にする

成功事例と書かれた黒板と指さし棒

どういう風に施設内を改善していけば良いのか分からないという場合は、研修会に参加していろんな施設に話を聞いたり、全国の児童養護施設の成功体験のあるところにどんな取り組みをしたか聞くことも有効だと思います。

成功体験をした施設も、悩んで試行錯誤した末に成功があるので、その集大成のアイデアはぜひ聞きましょう。そしてできることを真似してみましょう。

でも、何より大事なのは変えようとする意志、子どもたちや職員のことを本当に大切に思う気持ちがあるかどうかだと思います。

子どもたちにいい支援をするには、職員が元気でなければいけません。施設が職員を大切にすることは、子どもたちを大切にすることに繋がります。

施設を子どもたちや職員にとっていいものにしようという心意気ができたら次のステップです。

3.施設の中をオープンにする

楽しそうに話す仲間たち

施設の中は閉鎖的になりやすく、問題が内に隠れてしまいやすいです。できる限り、施設の中で情報をオープンにすることが大切です。

  • 誰でも何でも話していい雰囲気を作ること
  • どんな小さなことだとしても、否定せずにきちんと話を聞くこと

これがポイントになります。子どもでも大人でも、年齢も勤続年数も関係なく、平等に話せる、話を聞いてもらえる環境を作りましょう。失敗や困ったこと、心配なことなど話しにくいことを話せることが大事です。

そして、そこからどうしたらいいのか一緒に考えていくというスタンスで考えられるようになると、問題を隠したり、抱え込んだりする人は格段に減るはずです。困っている子どもや職員を孤立させないことが重要です。

また、問題を隠したり、人を傷つけるようなことをした人を放っておかない、絶対にそのままにしないということを徹底しなければいけません。

まずは、起きてしまったことを隠さずに報告すること、そしてみんなで共有し、どうしてそうなったのかを考え、再発防止に努める。

他人事ではなく、自分事として考えることが大事です。そうすることで、各々が今後に活かすことができます。

4.自己評価・他己評価をつける

作成中のチェックリスト

そして、自己評価、他己評価をつけることです。働き方や、仕事への姿勢、子どもたちとの関わり方など、必要な評価する項目を考え、できていること、できていないことを自分で評価を付けます。

また、人にも自分の評価をつけてもらって、プラスな意見や指摘する意見も具体的に書いてもらいます。そうして、自分自身の行動を主観的、客観的に振り返ります。

そして、それを施設のトップや管理職などが把握しつつ、個々の職員に「その評価をどう受け止めたか」「これから何をどうしていくか」を考えることを促します。これを定期的にするといいですね。

大事なのは、本気で考えること。義務感で当たり障りのないことを言うことには何の意味をありません。まずは、率直にどう受け止めたか、なぜそう思ったのかを話してみましょう。

無理に人の意見を聞き入れる必要はありません。聞く側はどんな思いがあったのか聞き取りながら、現状はどうだったのか客観的に整理し、目指していく方向を一緒に考えます。

いずれにしろ、一人ひとりが本気で施設を良くしようと思わないといけません。そう思えるように、施設のトップや管理職、先輩職員が見習いたいと思える背中を見せていきたいですね。 

5.アルバイトやボランティアの力を借りる

握手する手

次に、職員の勤務時間の負担を減らす為に、アルバイトやボランティアの力を借りるのも有効だと思います。

退勤時間を早めて、次の勤務者が来るまでの間にアルバイトやボランティアの人に入ってもらうことで、勤務時間の短縮ができます。

また、日中の子どもたちがいない時間帯の業務を手伝ってもらったり、児童養護施設の職員に興味があるならば、職員と一緒に勤務に入ってもらったりするのもいいと思います。

児童養護施設のことを知ってもらえる機会にもなるし、未来の職員として人材育成もできます。実際に、実習やボランティア、アルバイトから職員になったという人も結構います。

それに、施設外の人が入ってくれることは、施設をオープンにすることにも繋がります。「施設の常識は社会の非常識」という言葉があります。施設内では気付いていない、おかしいと思うことを指摘してくれる存在は大切です。

ただ、どうしても限られた人員と予算の中でやりくりしていくので、アルバイトやボランティアの力を借りたとしても職員の勤務時間が長くなってしまう現状はあります。

加えて、子どもたちとの関わりは時間がきたからと言って切れないこともあるので、思うように勤務時間をコントロールできなくても仕方ない部分はあると思います。ただ、初めから職員の気持ちに頼った、無茶な勤務体制を作るのは止めるべきです。

できるだけ、職員の負担が少なくなるように工夫した上で、現場の声を聞いて改良していく。また、それでも厳しい勤務時間になってしまう時は、協力して互いに気遣い、助け合っていくことが大事です。

そして、そういう状態で頑張ってくれている職員がいるということを施設のトップが忘れないことが大事です。すぐに労働環境を変えることはできなくても、「いつもありがとう」と感謝を伝えることで職員のモチベーションにもなります。

逆に言うと、思ってもいない言葉というのは相手に伝わります。なので、心がこもっていない上辺だけの言葉は信頼を失うので逆効果です。

なので、誠実に施設のことを考えて、一生懸命、状況を改善しようとしていれば、それは伝わるし、その姿を見て付いてきてくれる人はいるはずです。

6.問題を見過ごさない姿勢を徹底する

拒否する手と×マーク

人を傷つけるような暴言や暴力、パワハラ、その他にも子どもたちや職員による起こった問題を見過ごさないという姿勢が大切です。

一度、見過ごしてしまうと、その癖が付いたり、楽な方へ流されやすくなってしまいます。問題が起きたら見逃さず、

  • まずは話を聞く
  • 状況を把握する
  • 原因を探す
  • 対応策を練る

そして、対応策をやってみて

  • その後の経過を聞く
  • 必要に応じてまたできることを考えていく

これを逐一するのは大変です。でも、その一つ一つの積み重ねなしには、問題を見過ごさないことの「徹底」は難しいです。

一人ひとりが問題を見逃さない、許さない意識を持ってお互いを守る必要があります。そうでないと、誰かが苦しんでいても他人事で、「自分じゃないからいいや」という風になってしまいます。見て見ぬフリは絶対にダメです。

勇気を出して話したことでも、まともに聞いてもらえなかったり、ちゃんと対応してもらえなかったりすると、信用することができなくなり、それから何かあっても話せなくなってしまいます。

「言っても無駄」「何もしてくれない」そんな風に感じると、問題が表面化しなくなり、施設内の風通しは悪くなります。

「どんな時でも必ずちゃんと話を聞いてくれる」そんな風に子どもたちや部下の職員が思えることが大切です。たとえ、その時に手が離せなくて話が聞けなくても、ちゃんと説明をすれば後から話を聞いてあげたら大丈夫です。 

どちらか一方に偏らず、平等に話を聞いて、どうしたらいいか一緒に考えていくという環境が整うと、子どもたちや職員の施設に対する信頼ができてきます。そうなれば、見えない力関係が働くことも減っていくと思います。

「そんなのは綺麗ごとだ」「理想論だ!」と言う人もいるかも知れません。でも、簡単に上手くいく方法なんてないんです。現状を知って、課題を整理して、今できることからやっていくしかないのです。

繰り返しになりますがその際に、一番大事なのは「本気でやる」ということ。中途半端な気持ちじゃ、途中で折れてしまいます。本気で変えたいと思うなら、その決意を正直に一緒に働く仲間に話し、協力してほしいと、心の内をさらけ出す。

そして、今あるものを全部壊して、子どもたちや職員たちとたくさん会話をして、意見を聞いて、一からみんなで新たに作り上げていくしかないのだと思います。

時間と労力はかかりますが、そうして作り上げた環境は子どもたちや職員にとっていいものになると思います。そして、一度決めたことに固執するのでなく、必要があれば柔軟に新しいチャレンジをしていくことが大事だと思います。

今回はここまでです。一筋縄ではいかないこともあるかも知れませんが、施設を良くしたいと願う人の助けになれれば幸いです。

理想論かも知れないけど、児童養護施設は子どもたちを大切に思う職員たちが働く場であってほしい、そう強く願います。

さて、次は施設の目指す方向について書きたいと思います。子どもたちにとっていい環境とはどんなものなのでしょうか?次回の記事はこちら↓↓

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