児童養護施設で暮らす子どもたちの生活ってどんなもの?

赤ちゃんと小さな男の子 子どもの福祉

前回は、「児童養護施設とはどんなところ?」ということを紹介しました。今回は、実際に施設にいる子どもたちがどんな生活をしているのか、それにともなって職員がどんな動きをしているか紹介したいと思います。

ちなみに、これはわたしが働いていた施設での様子なので、それぞれの施設によって生活するルールや内容は異なります。

「児童養護施設とはどんなところ?」の記事はこちら↓↓

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子どもたちの生活空間

リビングルーム

わたしが働いていた児童養護施設は、定員が67名で1部屋10人前後のユニットに分かれて子どもたちは生活しています。

各ユニットに
  • キッチン
  • トイレ
  • リビング
  • 居室

があります。

居室は
  • 幼児さんの部屋(2~3人)
  • 小学生の部屋(2~3人)
  • 中高生の部屋(1~2人)

大体こんな感じになっています。リビングにはテレビがあり、浴室は各階に1つあり、3ユニットで共有し時間をずらして入浴しています。

他にも図書室や食堂、ホールなどがあり、外にはグラウンドや遊具、体育館や中庭、学童保育の建物があります。また、乳児院も併設されています。

乳児院とは?

家庭で暮らすことの出来ない0~2歳までの赤ちゃんや幼児さんを養育する施設で、24時間体制で職員が交代で赤ちゃんや幼児さんのお世話をしています。

1日のタイムスケジュール

時計とカップと眼鏡

1日のタイムスケジュールは大体こんな感じです。

6:00 職員起床

7:00 子どもたち起床、朝食

8:00 子どもたち登園、登校

9:00 職員は家事や事務作業など

12:00 昼食

13:00 泊まりの職員出勤、引き継ぎ

14:00 幼児帰園、夕食準備      

15:00 小学生、中高生帰園

17:00 入浴

18:00 夕食、片付け

19:00 余暇の時間

20:00 幼児就寝

21:00 小学生就寝、中高生学習時間

23:00 中高生就寝、職員会議

もう少し詳しく説明します↓↓

職員は、子どもたちが起きるまでに朝ごはんやお弁当の準備をし、子どもたちを起こします。

子どもたちは朝7時頃に起きて、顔を洗って着替えて朝ごはんを食べ、身支度を整えたらそれぞれ幼稚園や学校に登校します。中高生など朝練のある子、遠くの学校へ通っている子はもっと早く起きて登校します。

子どもたちが幼稚園や学校に行っている間に、職員は掃除や洗濯、関係機関との連絡や事務作業をこなし、未就園児がいる場合は未就園児と遊びます。

午後からは、幼児さんが幼稚園バスで帰ってきて、帰ってきた子から着替えをし、職員は洗濯をしたりおやつを準備します。

泊まりの職員と泊まり明けの職員で役割分担をし、夕食を作ったり、幼児さんとおやつを食べたり一緒に遊んだりします。

施設内に、帰ってきた小学生の為の学童保育があり、そこで宿題をして、おやつを食べ終わった子から遊びます。その間に中高生も順次帰ってきます。

夕方~夜の間に子どもたちと職員で入浴し、各ユニットで夕食を食べます。子どもたちは、食後の食器洗いや食器拭きなど、各ユニットで決めたお手伝いを職員と行います。お手伝いが終わると余暇の時間で、テレビを見たり、本を読んだり、それぞれ好きなことをして過ごします。

20時になると幼児さんの寝る時間になり、職員が絵本を読んで寝かしつけをします。21時になると小学生が就寝する時間です。

それから中高生は学習時間なので学校の課題やテスト勉強などをし、それが終わると夜食やおやつを食べながら、子ども同士や職員と話をしたり、自室で過ごしたりします。

23時に中高生が就寝し、その後、泊まりの職員たちは集まって会議をします。その日あったことや共有しておくべきことを話します。

それが終わると、職員はトイレやお風呂、廊下などの共有部分の掃除や洗濯物を干したり畳んだり、明日の朝食の準備、幼児さんの幼稚園の準備などをします。そこまで終わったら、あとは各自の事務作業などの仕事をして、職員も就寝します。

土日は、平日より少し起きる時間が遅く子どもたちは7時半に起きて、朝食を食べ、9時からは小学生の学習時間があります。

宿題や家庭学習をして、それが終わると、幼児さんや小学生の外に行きたい子はグラウンドに遊びに行き、室内で遊びたい子は室内で過ごします。職員は子どもたちと外に遊びに行ったり、昼食準備をします。

昼食後も、グラウンドや室内でそれぞれ好きな遊びをして過ごします。時には、近くの公園に出かけたり、職員と子どもたちでお買い物に出かけたり、図書館へ行くこともあります。

他にも、施設内でフットサルや野球などやりたい子を募ってチームを作り、定期的に練習もしています。中高生は部活へ行ったり、友人の家へ出かけたり、高校生でアルバイトをしている子はアルバイトに出かけたりします。

泊まり明けの職員は、昼食の後片付けをして午後に出勤してきた泊まりの職員に引き継ぎをして、子どもたちと外に行ったり、出かけたり、各自の仕事などをしてから帰ります。

子どもと保護者の関わり

夕暮れの中の親子のシルエット

施設で生活することになった理由はそれぞれなので、子どもたちが保護者とどのくらい関わることができるかは家庭によります。虐待などの理由で保護された場合、保護された子どもの許可なしに面会などは行われません。

まずは、保護者と離れ、施設での生活に慣れることが第一です。その中で、気持ちが落ち着き、安心して過ごせるようになることが大切です。

虐待などにより、辛い思いをしていても、保護者と離れることで寂しくなったり不安定になる子どももいます。一緒にいると辛くなるとしても、会いたくなる子どももいます。

子どもが家に帰ることを保護者も子ども自身も望んだとしても、すぐに家庭へ帰ったことで、また虐待を受けたり元の生活に戻ってしまう危険性があります。

そうならないように、児童相談所や施設の職員は子どもの気持ちを聞いて寄り添いつつ、家庭ごとに必要な距離を保ちながらケアをしていきます。

子どもが施設での生活に慣れ、落ち着いてきて、保護者から面会などの要望があった場合は、子どもの気持ちを確認します。

会いたいと言う子もいれば、会うのを拒否する子もいます。職員同席のもと面会をしたり、保護者と子どもだけで面会をしたり、外出、外泊をすることもあります。

いずれも、段階を踏んで、子どもの気持ちを優先して行われます。保護者と子どもが望んでも、虐待などの危険性がある場合は児童相談所の許可が降りないこともあります。

そもそも、子どもの安全の為、子どもの生活することになった施設を保護者に知らせないというケースもあります。

虐待などの理由で子どもの安全が保障されていない状態で、かつ保護者が施設の入所に同意しておらず、子どもを引き取りに行ってしまったり、子どもに危害を加える恐れがある為です。

家庭というのは、とても閉鎖的な場所なので、一度問題が内に入ってしまうと、外からは問題を発見しにくく、第三者が介入することが難しくなります。

なので、子どもと保護者の関わり方は慎重に判断していかなくてはいけません。安易に面会や外出、外泊、または家へ帰ることを決定してしまって、再度、虐待が繰り返されることは何としても避けなければなりません。

また、外出や外泊をして、そのまま子どもを帰さないということも稀に起こります。そういった危険性を減らす為にも、職員は保護者との信頼関係も作っていかなければなりません。

職員と保護者の信頼関係

握手している手

保護者が施設や職員に対し、不信感を持っていると、職員が介入しての親子関係の再構築も上手くいきません。子どもが保護者と良好な関係を築いていく為にも、保護者にとって職員や施設は安心して子どもを預けられる存在でなければなりません。

保護者の多くは、何らかの問題を抱えています。子どもの養育や就労、パートナーとの関係、金銭問題など保護者の抱える不安や問題を話せる関係を職員と作ることができれば、必要な支援に繋げることもできます。

何より、困っていることを話せて一緒に考えてくれる存在は誰にだって必要なはずです。周りにそういう存在がいない人なら尚更、自分にとって味方だと思える存在は必要です。

そう思える職員がいると、今後の子どもとの関わり方を改善することにも耳を傾けられるようになります。職員が子どもの気持ちを代弁したり、保護者が自分自身を振り返る必要がある時にも、職員の言葉が届くようになります。

また、子どもに関心を示さず、関わりを持とうとしない保護者も中にはいます。そういう時は、職員から保護者に定期的に手紙を出したり、電話をかけたりして、保護者の近況を聞いたり、子どもの様子を伝えたりして、子どもと保護者の関係が切れてしまわないようにするのも職員の仕事です。

子どもが施設にいる時も、家に帰ることになった時も、保護者や子ども自身が親子関係が上手くいかなくなった時や何か困った時に施設に頼れる状態を作っておくことがとても大切になります。

子どもと保護者の距離感

サンタの恰好の女の子と男性

子どもたちは、児童養護施設に最長18歳までしかいることが出来ません。いずれ、必ず施設を出ていかなければならないし、自分の力で生活していかなくてはいけない時が来ます。

施設を出た後も、子どもの住む家に行ったり、会って話を聞いたり、職員は子どもたちの相談にも乗りますが、家族との関係もできるだけ良好に保つ必要があります。

子どもにとって、保護者と関わることがしんどく、関わらずに生きていくべきケースもあります。ですが、そうでない場合は、早々に家庭引き取りをしたりするのではなく、長い目で見て、いい距離感で関わっていけるようにする必要があると思います。

いい距離感というのは、家庭ごとに違います。面会や外出、外泊などを頻繁にするケースもあれば、あえて会わずに手紙や電話での交流に留めたり、時間をかけて徐々に交流を深めていくケースもあります。

今だけではなく、先を見据えながら子どもと保護者が無理なく関わっていける関係性と距離感を職員が間に入って一緒に考えていくことが必要です。

施設の行事

綺麗に咲いた桜の花

施設では、1年を通していろんな行事があります。

<春>

節分、ひな祭り、卒業式、卒園式、

入学式、ハイキング

<夏>

七夕祭り、川遊び、海水浴、キャンプ、

夏祭り

<秋>

運動会、ハロウィン、映画外出

<冬>

クリスマス会、忘年会、餅つき大会、

お正月のお出かけ

などなど…季節ごとに行事があり、職員が内容を考えて企画します。

他にも、いろんな企業や団体から女子野球や相撲などのスポーツ観戦やクリスマスにバイキングの食事に招待してもらうこともあります。

また、子どもの誕生日や長期休暇などは外出泊する子どもが多い一方、保護者と全く関わりのない子どももいます。

そんな子どもたちは、目の前で外出や外泊に出かけていく子どもを目の当たりにするので、そばにいる職員が子どもたちに寄り添える存在でなければならないと強く思います。

そのため、特に外出泊をする子どもたちの多い年末年始は施設に残っている子どもたちと職員で、忘年会やお餅つき、お正月遊びやお出かけなどをします。

年末にはすき焼き、お正月にはおせち料理を食べたり、家で過ごすことが出来ない分、施設のメンバーと少しでも楽しい思い出ができるようにとの願いが込められています。

施設で暮らす子どもたちの生活について、少しでも知ることが出来たでしょうか?次回は、児童養護施設で働いてみて見えてきた現状について書きたいと思います。働いてみて、どんな発見があったのでしょうか?↓↓

児童養護施設で働いてみて見えた現状とは?
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