児童養護施設で働いてみて見えた現状とは?

机に頬杖をついて座っている女の子 子どもの福祉

前回は、児童養護施設での子どもたちの生活について紹介しました。今回は、わたしが児童養護施設で働いてみて感じたことについて書きたいと思います。

「児童養護施設での子どもたちの生活ってどんなもの?」はこちら↓↓

児童養護施設で暮らす子どもたちの生活ってどんなもの?
前回は、「児童養護施設とはどんなところ?」ということを紹介しました。今回は、実際に施設にいる子どもたちがどんな生活をし...

子どもたちはどんな様子?

しゃがんでいる女の子とカゴの中の子猫

施設に暮らす子どもたちのイメージはもしかしたら、「かわいそう」や「暗い」というイメージがあるかも知れません。ですが、実際はそんなことはありません。

もちろん、抱えている苦しさや不安定さはあったりしますが、普段の子どもたちは明るく、元気いっぱいです。周りの地域に住む子どもたちと同じように学校に通いますが、何ら変わりがありません。みなさんの周りにいる子どもたちと同じということです。

時には、不安定になったり、対人関係に難しさを抱えている子もいますが、まだ子どもである内に保護者と離れて暮らさなければならない環境におかれているのだから、当たり前ですよね。

ただ、自分に自信が持てなかったり、人と関係を築くのが難しかったり、精神的に不安定になった時に暴れたり、自傷行為や他害行為をしてしまうこともあります。

それは、どんな風に自分の不安や怒り、悲しみを表現して良いのか分からないように見えます。また、自分がどれだけのことをしても、目の前の大人が自分を受け入れてくれるか試しているという場合もあります。

なので、そんな子どもたちとの関わりは大変なこともありますが、子どもたちが見せてくれる笑顔やふとした時に感じる成長は頑張る原動力になっています。

問題を抱える子どもたち

一点を見つめる男の子

中には、荒れた子どもたちもおり、不登校や飲酒、喫煙、深夜徘徊などをすることもあります。また、施設などの集団の中では、年上の子どもが年下の子どもを力で押さえつけるという力関係が起こりやすくなります。

暴力や圧力で他の子どもを思い通りに操ろうとしたり、職員に反発したり、わざと職員を困らせるような行動を取ったりすることが起こります。

そういった行動をとる子どもたちは、みんな何かしら心の問題を抱えています。多くは、保護者との関係の中で愛情を十分に感じてこられなかったり、自分は見捨てられたという感情を持っていたり、自信がなかったり、自己肯定感が低かったり。

そんな寂しさや不安感から、人を圧力で支配したり、仲間とつるんで非行に走ったりすることで心に隙間を埋めようとしているのではないかと思います。

大人の身勝手で、心や体に傷を負った子どもたち。その反動で起こす問題には、表面上ではなく、その問題の本質はどこにあるのか、子どもが本当に訴えていることは何なのか、ということに向き合わないといけないと思います。

実際に働いてみて大変だったこと

ガラスに当たる雨

実際に働いてみて、子どもたちとの関わりにやりがいを感じつつも、やっぱり大変だったと思うことはこれです。

  • 勤務時間が長いこと
  • 子どもたちとの関わり方に正解がないこと
  • 協力し合える職員ばかりではなかったこと

勤務時間が長いこと

基本的に泊まりのシフトが多いので、泊まりと泊まり明けの組み合わせになります。

  • 泊まり 13時~22時
  • 泊まり明け 6時~15時

休憩が1時間となっていますが、実際は休憩時間が決まっているわけじゃなく、休憩時間は職員個人の判断によります。とは言え、休憩なんて取っている人なんておらず、やることが山積みなのでそんな暇はありません(苦笑)

定時の22時以降も子どもたちが起きていたり、夜の会議があったり、それが終わってからも残っている業務や自分の事務作業をしなければならず、就寝時間は夜中になることがほとんどでした。

子どもたちが起きている間に、進められる仕事もありますが、それよりも子どもたちと余暇の時間を一緒に過ごしたり、子どもたちの学習を見たり、ゆっくり話をする時間の方が大事だと思っていたので、その時間を優先していました。

泊まった翌日も、子どもたちを学校に送り出してから事務仕事をしたり、帰ってきた幼児さんたちとの関わり、子どもたちの通院や買い物などがあり、帰宅するのは早くても18時以降でした。

子どもたちとの関わりに正解はないこと

当たり前のことのようですが、子どもたちとの関わりに正解はありません。子どもたちがどんな思いで家で生活をしてきたのか、どんな思いで施設に来たのか、抱えている問題や苦しみは何なのか。それは、一人ひとり違います。

そして、子どもたちがどんなものを大人に求めていて、どんな方法でそれを表していくのかも様々です。素直に職員に甘えられる子もいれば、とげとげしい言葉をぶつけることでしか表現できない子もいます。

大人に裏切られ、信じられなくなって、それでも自分を見てほしくて、どんなことをしても自分を見捨てないでいてくれるか試すように、暴言や時には暴力を振るってしまうこともあります。

そんな時にどう対応したらいいのか正解はありません。職員も苦しいし困ってしまう現状ですが、そんな時、子ども自身も困っているはずです。

  • 何でこんなことをしているのか
  • 何に困っているのか
  • 何を求め、訴えているのか

いずれも表面化している問題だけでなく、問題の本質を見抜き、その子の心の奥にある本心を見つけ出さなくてはいけません。そうでなければ、問題の根本的な解決にはならないし、子ども自身も前に進むことができません。

こんなことが今になってようやく分かりますが、当時はとにかく必死で、そんな風に考える余裕もなく、ただ目の前の起きたことに追われる毎日でした。

自分なりに、一生懸命やってはいましたが、その時、本当に子どもたちが求めていたもの、分かってほしかったことは見えていなかったと今になって思います。

協力し合える職員ばかりではないこと

家でも学校でも会社でも近所でも、どこにいても人間関係はとっても重要です。どんな人と付き合っていくかで、生活や仕事、人生は楽しくも、苦しくもなります。

そして、いろんな背景を抱えている子どもたちを見ていく上で、チームワークは欠かせません。一人で出来ることは限られているし、みんなで子どもたちの心の成長を応援し、見守っていくことが大切です。

日々の生活の中で、小さな出来事でも共有して、子どもたちの為に何をすべきか、どうしたら子どもたちが安心して、前を向いて生きていけるか考えていかなくてはいけません。

いろんな問題が起きたり、どうしたらいいか分からないようなこともたくさん起こります。そんな、みんなで協力しないといけない時に、嫌な態度を取ったり、人を責めたり、協力してくれなかったり、実際にそんな人はいます。

例えば、そんな人が施設で長く働く職員だとするとその影響力は大きく、子どもや職員はそういう人の顔色や機嫌を窺うようになってしまいます。

そうなると、子どもも大人も困ったことがあっても相談できなかったり、問題や失敗があった時も正直に言うことができません。こんな状態では、安心してのびのび生活することも、笑顔でいきいきと働くことも到底できません。

子どもたちが安心して自分の思いを出せるように、職員が笑顔で子どもたちと関われるように、環境を整えていくことが大切です。この2つはとてもシンプルで単純なことのようですが、いろんな人が働く中で、これを実現するのはとても難しいのが現状だと思います。

それでも、その環境を変えるには施設を運営している経営者を筆頭に、現場で働く人みんなが同じ方向を向いて、言いたいことを言い合える、そして協力し合えるような関係作りを強化していかなければならないのだと思います。

施設の現状は、そこで暮らす子どもたちや働く職員にとって厳しい状況にあるのも事実です。では、何が課題となっているのでしょうか?次回は、施設の抱える課題について整理してみたいと思います。次回の記事はこちら↓↓

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