家庭の代わりに子どもたちが暮らす児童養護施設について、まだあまりよく知らないという人は多いかもしれません。
そんな人の中には「存在は知っているけれど、どんなところなんだろう?」「何をして過ごしているの?」という疑問を持っている人もいるのではないでしょうか。
さらに児童養護施設の仕事というと、「どんな仕事なんだろう?」とよく分かりませんよね。
そこで今回は、実際に児童養護施設で職員として働いた経験のあるわたしが、施設での職員の仕事内容を具体的に紹介していきたいと思います^^

興味のある人はぜひ読んでみてね!
施設の仕事

児童養護施設は、事情があり家庭で生活できなくなった子どもたちが暮らす場所です。
まず、児童相談所に保護され、その後しばらく児童相談所の一時保護所で生活をすることになります。
その間に、どの施設で生活するのか児童相談所の職員が検討し、児童養護施設と連絡をとり、調整します。
そうして、施設の受け入れる環境が整うと子どもたちは施設へ移動し、生活を始めることになります。
そうして、施設で生活することになった子どもたちと共に過ごし、サポートしていくのが施設の職員の仕事です。
そのサポートには様々な内容があるので、その内容を紹介していきます^^
仕事内容

施設で働く職員の仕事内容は、大きく分けて5つほどあります。

一つずつ細かく見ていきましょう!
家事全般

子どもたちは毎日施設で生活します。その生活を支える職員の仕事は、家庭での親の役割とよく似ています。
職員は、子どもたちが生活するのに必要な家事を全て行います。
わたしが働いていた施設では、子どもたちが生活する空間は、ユニットごとに分かれており、大体1ユニット10人前後の子どもたちが生活するようになっていました。
ユニットは縦割りで2〜18歳までの子どもたちが一緒に暮らしています。
お風呂はワンフロアで共同で、それ以外のキッチン、トイレ、リビング、居室は各ユニットに設置されています。
そこで、各ユニットに職員がいてその部屋の子どもたちの洗濯、各部屋の掃除、そして調理をして一緒にごはんを食べます。
掃除場所は、施設の中を他の職員と手分けして掃除するので、各ユニット以外にも共有の廊下や階段、浴室、ホール、職員室なども掃除します。
洗濯物は大体朝と夜に洗って、ベランダの物干し竿に干し、乾いたら取り込んで畳んで各子どもたちに渡します。
まだ自分でうまく片付けられない幼児さんの分は職員が手助けをし、片付けます。
調理に関しては、食堂がありそこで働く調理員さんが食材の発注・仕分け、下準備などをしてくれます。
食堂ではメインとなるおかずを作ってくれるので、各ユニットでは運んできた食材で副菜などを作ります。
毎日各ユニットでごはんを炊き、副菜を作り、一緒に食べます。夜は夜食を食べたい子に夜食を作ったり、朝はお弁当を持って行く子どものおかずを詰めたりもします。
子どもの誕生日には、その子の好きな献立を決め、スーパーへ買い出しに行き、全てをユニットで調理します。
他にも、幼稚園へ行く子どもの準備をしたり、新学期には学校へ持って行く雑巾を準備したり、運動会の時期にはゼッケンを体操服に縫い付けたりもします。

子どもたちが暮らして行くために必要なこと全般が仕事だよ!
子どもたちへの関わり

子どもたちへの関わりでは、各ユニットで一緒に食事を摂り、幼児さんや小学生とは一緒にお風呂に入ります。
夜には、幼児さんに絵本を読んで寝かしつけたり、小学生とテレビを見たり、中高生と勉強したりします。
その後は、一緒に夜食を食べながらおしゃべりをしたり、子どもたちはそれぞれ思い思いに過ごします。
子どもたちがみんな就寝すると、宿直の職員は夜(もしくは朝に)会議を行い、子どもたちの様子を共有します。
そして、日誌を書いたり、掃除をしたり、明日の準備をしてから職員も就寝します。
日中や土日は幼児さんや小学生と一緒に遊んだり、小学生の宿題を見たり、テスト前には中高生のテスト勉強のサポートもします。
歯医者や眼科、皮膚科、耳鼻科などの病院に行く必要があればそれも職員が一緒に通院します。
年に2回ほど個別に服を買いに行ったり、ほしいものがあった時は好きなものを買いに行ったり、車で出かけたりします。
子どもたちは集団生活なので、誰かとケンカすることもしょっちゅうです。そんな時には間に入って、話を聞き、仲裁をします。
このように職員は子どもたちの生活の中で様々な関わりをします。
その中で、形式的な関わりをするのでなく、時間がかかっても一人ひとりの子どもたちの言葉をしっかり聞いて、同じ目線で丁寧に関わっていくことが大切です^^
関係機関との連絡・調整

関係機関との連絡・調整も大切な仕事の一つです。
児童相談所とはカンファレンスを開いたり、保護者との関わりについて報告・相談したりします。
幼稚園、小学校の参観や小・中学校、高校の三者面談などにも職員が行きます。(参観は保護者が参加する場合もあります)
また、学校などで何かあった時には電話で連絡をもらい、情報共有を行なっています。
そして保護者とも連絡を取り、各家庭の状況によりますが、子どもとの面会や外出・外泊の提案や相談も受けています。
施設にいる間にできるだけ、子どもと親の関係を良好に保ち、または改善していけるように間に入っていきます。
行事の計画・実施

施設の中では、1年の間にいろんな行事があります。
などなど…四季に合わせていろんな行事があったり、この他にも子どもたちが楽しめるレクリエーションを考えたりします。
そうした行事を、職員で役割を割り振って、計画を練って会議で提案し、準備を進めて当日に実施します。
会議

施設には会議がたくさんあります。子どもたちへの支援のため、職員間で大切なことを情報共有します。
普段の子どもたちの生活の中で気になることや他の子どもたちとの関わり、起こったケンカや問題について情報を共有したり、報告・相談します。
また、学校での様子についてや子どもの進路(受験や進学・就職)についても話し合います。
保護者や各関係機関とのやりとりも報告し、職員みんなが共通認識を持てるようにしておきます。
また、会議にはその規模や参加メンバーが違うものもあります。
職員全員が参加する会議や、いくつかに分かれているチームごとの会議、1週間の出来事の中で必要なことを話し合う会議などがありました。
そして、各ユニットごとに子どもたちのことに関して、細かい議題を出し合い情報共有をしたり、方向性や対応の相談・検討をしていました。
こうしたたくさんある会議ごとに議事録を取ることも仕事の一つです。
最後に

いかがだったでしょうか?
以上が簡単にはなりますが、施設の仕事の内容紹介になります。何となくどんな仕事をしているのかが分かっていただけたのではないでしょうか^^
こうしたたくさんの業務をこなしつつ、日々起こるイレギュラーなことにも対応していきます。
とっても大変で様々な苦労もありますが、嬉しいことや「やっててよかったな〜」と思うこともあります。
ここでは、わたしが働いた施設でのことを紹介しましたが、全国にはたくさんの施設があるので、それぞれでまた違った形態、違ったやり方があることと思います。
興味のある方は、またご希望の地域や気になっている施設に見学に行ってみたり、ボランティアをしてみると良いと思います。
施設によってはアルバイトとして働けるところもあるので、「いずれこの施設で働きたいな」と思う場合には経験してみることをおすすめします^^

ぜひ自分の目で見て、空気を感じて、体験してみよう!
コメント