施設に限らず、会社や組織、自営業などどんな形態でも働いていると、それぞれにいろんな苦労があると思います。
わたしも児童養護施設で6年間働いた中で、楽しかったことや嬉しかったこと、そしてたくさんの苦労やしんどいことがありました。
その中で今回は、施設で働いてきた中で苦労したことベスト3を紹介したいと思います。
実際に施設で働いている人には「分かる〜!」と共感してもらえるかもしれません。
また、今後施設職員を目指そうとしている人に「こんなことで大変だったよ〜」とひとつの意見として参考にしてもらえればいいと思います。
ただ、心配しないでください!施設で働いて感じるのは大変だったことだけではありません。
施設で働いて良かったこと・嬉しかったことベスト3も別の記事で紹介しているので、そちらも併せて読んでみてくださいね^^

では、いってみましょう〜!
苦労したポイント

わたしが実際に施設で働いて「苦労したなぁ」「大変だったなぁ」と感じるポイントこの3つです。
施設で働く人が感じる代表的なものかもしれませんね。では、詳しく解説していきたいと思います!
どんなことが大変?

では、具体的にどんなことが大変だったのでしょうか?実際の体験をもとに、第3位から順番に見ていきましょう!
第3位 勤務体制

第3位は勤務体制です!
勤務体制は施設によって異なり、生活する子どもの人数が50人以上の多いところや30人以下、一番少ないと6人というところもあります。
大きな建物で集団生活するところ、建物は大きいけれど、その中でユニットが分かれていて、少人数で生活するところなどがあります。
その一番少ない人数が6人です。地域で暮らすグループホームなども定員が6人です。
その人数や施設の造りによって働く職員の数も変わり、勤務体制もそれぞれの施設で異なります。
勤務形態には、施設に泊まる宿直・夜勤、泊まり明けの早出(早番)、日中だけの日勤、中出などがあります。
こうしたシフトをどう繋いで回していくかということが施設によって異なります。
わたしが働いた施設では、上記の他に1泊した後に休憩に入り、時間を空けてまた宿直に入るというシフトもありました。
つまり、泊まりの勤務が1泊で終わらないのです。そもそも、休憩時間はあってないようなもので、夜眠るのも自分の仕事が終わり次第、定時もまずないような状態でした。
子どもたちに対応する仕事なので、時間だけでは区切りにくいという部分もあります。
さらに、それぞれの職員が忙しく、子どもたちの対応もあるので、勤務時間が終わったからといって自分の仕事を引き継ぐのでなく、関わったことは最後までやってから退勤するのが当たり前でした。
なので、定時に近付けて少しでも早く帰りたければ自分で効率よく仕事を回していくしかありません。
大変ながらも、自分の役割があったり、人の役に立てているという感覚、頑張っている感もあったので、自分なりにやりがいがありました。
わたしはアルバイトとしては他の施設でも働いたことはありましたが、正社員として初めて働いた施設だったなので、「こういうものか」と当時はあまりそこに不満や疑問を持つことはありませんでした。
でも、いつも仕事のことを考えていて、休みの日にも家で仕事をしたり、職場へ行ったり、勤務時間が長く拘束時間が長いことは体の負担になっていました。
割り切って気持ちでカバーして働いていても、その生活がずっと続くわけなので、それぞれの職員への心身的な負担はかなり大きかったと思います。
泊まりの時は、お昼すぎに出勤したら、定時は翌日の15時頃ですが、実際には早くても17時、遅ければ仕事が終わるまで帰れない状態でした。
やりがいがあって、一緒に働ける仲間がいたから頑張れましたが、やっぱり施設としてはちゃんと職員が働きやすいように、働くことと同じくらい休むことも大事に考えなければいけなかったなと思います。

しっかり体を休めて、メリハリをつけて働くことはいい仕事をするにも大切!
第2位 子どもの問題行動

第2位は子どもの問題行動!
子どもたちはいろんな経験をして、いろんな思いを抱えて施設に来ます。
施設での生活自体には数ヶ月もすると、徐々に慣れてきます。家庭とは違う生活習慣や生活時間になりますが、それも普通になってきます。
でも、慣れてきた頃に職員に対して「この職員は本当に信じていいの?」とわざと困らせることをして反応を試したりします。

こんなことをしたらどうするだろう…?
思春期になったり、子どもが問題を抱えていたりする時にも問題行動は起こり、その内容は様々です。
職員に対するものや他の子どもたちに対するもの、学校でのもの、生活に関するもの、いろいろです。
学校に行かなかったり、非行に走ったり、暴言・暴力が出たり、ルールを守らない、反発する、暴れるなどなど…。
そういう時は、その問題自体に対応するだけじゃなく、その行動に出てしまう子どもの心のしんどさと向き合って本当の問題を解決しなければいけません。
でも、そんな視点と余裕が当時のわたしにはなく、問題への対応に追われ、自分自身も精神的にまいっていました。
これは今振り返っても、よく思い出すことで、やっぱり大変でしたね。わたしの対応はまだまだ未熟なものだったなぁ…と反省しています^^;
それでも、当時は毎日必死でした。どうしたらいいのか解決策の見えないままに進んでいくのはなかなか苦しいことでした。
第1位 職員関係

そして、第1位はやはり職員関係!
人間関係というものは、どこにいってもついてまわりますね。どんな職場でも学校でも家庭でも、人間関係は生きていく上で切り離すことができせません。
人間関係が良好かどうかによって、その生活が楽しく充実したものになるか、苦しく辛いものになるか大きく影響します。
わたしが働いていた施設では、30人ほどの職員が働いていて、他にも事務員さんや調理員さん、心理士さんなどもいました。
どの職員に対しても愛想良く、自分なりに一生懸命働いていたので、ある程度、どの職員ともうまくはやれていたと思います。
でも、その中でもとっつきにくい人や、問題にぶつかった時に自分なりに頑張って対処しているつもりでしたが理解してくれない人、当たりの強い先輩や上司もいました。

気分や機嫌で対応を変える人もいたし、いつも態度が冷たく「嫌われてるんだな」と感じる人もいたよ。
それでも今振り返ると、自分の至らなかったところやこういうところがダメだったんだなというところに気が付きます。
なので、自分にも原因はあったし、それを変えていけないことに問題があったんだな、と思います。
ただ、それでもやっぱり「だからといって嫌な態度を取るのはダメ!!」だと思います。
上司から部下へ、先輩から後輩へ、思っていることがあるならちゃんと指摘して、指導してほしかったです。
その上で、「子どもたちのためにどうしたらいいのか?」を一緒に考えてほしかったなぁと強く思います。

言いたいことは伝え合うこと、協力し合うことが大切!!
一部の職員とうまくいかないことで、問題を抱え込み、子どもの対応に追われる中でも、職員の目や評価を気にするようになってしまいました。
「子ども第一」ではなく、「職員第一」の目線になってしまい、かなり視野が狭かったと思います。
「職員としてどうすべきか」にとらわれて、求められているであろう対応をしようと必死でした。
それでは意味がなく、本当に大事なことが見えていませんでしたが、当時のわたしにとって職員の目にどう映るか、どう評価されるかは重要な判断基準になっていました。
- 何とか問題をおさめないといけない!
- 問題を起こさせないようにしなければ…
- 職員としてちゃんと対応しないと…!
と、こんな感じでした。頭の中が職員のことでいっぱいになってしまってますね^^;
そして、問題が起きても担当の職員や対応した職員に任せきりで、「何とかしてね」という空気感が辛かったです。
何かが起きたら、「みんなで共有してどうすればいいか一緒に考えていこう!」という姿勢、協力体制がなければ職員が孤立したり、追い込まれていってしまいます。
みんなに悪意があったわけではありませんが、それぞれの職員が忙しく大変だったため、そこまでの余裕もありませんでした。

振り返ってみて、子どもたちの問題行動よりも、職員関係の方がしんどかったなぁ。
でも、人間関係次第ではどんなに大変なことが起きても、仲間と一緒に向き合っていけたなら、乗り越えられると思っています。

仲間次第ということだね!
勤務体制の改善

勤務体制については、当時は異論を唱えることもなく、ただただがむしゃらに働いていました。
でも、わたしが施設を退職する頃には徐々に改善策が出されるようになっていました。
極力職員が定時の時間に帰れるように、施設に泊まる回数が減らせるようにと新たな試みが始められているようでした。
ただ、労働基準法に違反しないように、外部に対して「ちゃんと改善してますよ」とアピールする気持ちが強かったように思います^^;
なぜなら突然方針が変わり、そこに実際に働く職員の意見が入っていないように感じたからです。施設にはこんな課題がありました。
これまで、定時に帰れなかった理由、勤務時間が長かった原因などを明らかにして、「どうすれば解消できるのか?」をまず考えることが必要だと思います。
なぜなら、単に時間を短くしただけでは、「じゃあ、これまでやってた仕事はどうこなしていくの?」ということになるからです。
勤務体制を変えることでのメリット・デメリットなどを事前に調査したり、職員から意見を聞いて話し合わなければ、現場の職員の働きやすさには繋がりませんよね。
当時の勤務体系の変更は「よく分からないけど、こうすることにしたらしい」という感覚でした。

何で突然変わったの?これで働きやすくなるの?
職員の負担を減らし、働きやすいように変えることが目的ならば、「何に困っているのか?」「どうすれば解決できるのか?」を考えてから方法を考えなくてはいけませんよね。
そうでなくては、ただやり方を変えただけで中身のない方策になってしまいます。
現場の職員の生の声を聞いて、その意見を反映させていくことが働きやすい職場にしていくためには重要ということですね!
子どもと向き合う力

子どもが言うことを聞いてくれない時には何か必ず原因があります。
しかし、その子どもに対応する職員の視野が狭くなっていると本当に大切なことに気付くことができません。
とにかく問題を収束させること、周りの職員から反感を買わないことなどを意識していると、子どもの心を置き去りにしてしまいます。これでは本末転倒ですよね。
何があっても「子ども第一」で子どもたちのことを一番に考える視点が大事!
子どもが問題を起こした時に子どもの話をちゃんと聞いて、「この問題の本当の原因は何だろう?」「どんな気持ちを抱えているのかな」と考えることが大切です。
そうすることができると、子どもの本当の気持ちやしんどさが見えてきます。
- 子どもの話をしっかり聞くこと
- 子どもと同じ目線で向き合うこと
どこまでいっても、これに勝るものはないんじゃないかなと思います。
負の職員関係からの脱却!

職員関係がうまくいかない、ストレスが溜まる、改善できない…。こうした環境で働き続けることってしんどいですよね。
わたしは折り合いが良くない職員の顔色を伺い、どう見られているのか気にして、少しでも相手に合わせる形で関係を保とうとしました。

関係をこれ以上悪化させないように…(焦)
でも、これが間違いでした。他の職員の顔色を気にすれば気にするほど、本来の「子どもたちのために」という視点から離れていきます。
それに、自分の信念に基づいてではなく、他の職員に何か言われないために動いていたのでは、周りから見ていてもいい対応にはなりません。
後手後手になって、ただ問題の後を追いかけているだけでした。
でも、正面からぶつかるのも相当勇気のいることで、組織で働く上ではある程度職員関係を良好に保つことも大切です。
そこで、悩んだ末にわたしがとった決断は退職するというものでした。
働いていた施設では、誰もが当たり前に意見を言えて、それを受け止めたり、受け入れるという体制ができていませんでした。
それでも、話を聞いてくれる信頼できる上司もいたので、試行錯誤しながら6年間働くことができました。
しかし、力のあるものが君臨する施設ではこれ以上長く働き続けることは難しいと思いました。
今も頑張って働いている他の職員や残される子どもたちのことを考えると心が痛みましたが、自分には変えることができませんでした。
なので、わたしはそこから脱却し、違う場所で自分の居場所を見つけ、その場所で自分の力を発揮しよう!と思ったのでした。

同じ場所で働き続けることだけが全てじゃない!
そして、また違った立場・違った形で子どもたちのためにできることを模索して、今自分にできることから始めています。
最後に

今も施設で奮闘している職員さんはたくさんいることと思います。
わたし自身が大変な思いをしてきたことで、少しでも施設の働き方や人間関係がいいものになればいいなと願っています。
- まずは、子どもたちのことを一番に考えること。
- その次に職員のことも同じくらい大切に考えることがとっても重要!
実際に働いてみて、わたしはこう強く感じています。
なかなか難しいことかもしれませんが、子どもたちと職員のどちらも大切にすることができると、きっといい循環が起こってきます。
みんなで問題を解決したり、思いを聞き合ったり、力を合わせていくことできっと素敵な施設になります。
子どもたちも職員も苦しくならない、そんな施設が増えていけばいいなと思います。
わたしも、一度施設の仕事からは離れましたが、またもう一度自分なりの形とペースで、みんなが心から笑える施設を作っていきたいなと思っています^^

新たな夢に向かってがんばるぞ〜!
コメント