家庭で暮らせない子どもたちが生活するグループホームってどんなもの?

いちょうの落ち葉の上にある白い家 子どもの福祉

前回は、児童養護施設で暮らす子どもたちにとって、どんな施設が望ましいのか?ということについて紹介しました。その中で、できるだけ家庭に近い環境が望ましいということが分かりました。

家庭に近い環境ではユニット制やグループホームなどがありますが、その中でもグループホームの特徴やメリット、デメリット、気を付けるべき点などについて紹介します。

「児童養護施設で暮らす子どもたちの為にどんな施設を目指せばいいの?」についてはこちら↓↓

児童養護施設で暮らす子どもたちのためにどんな施設を目指せばいいの?
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グループホームって何?

小さな2つの家とクエスチョンマーク

まず、グループホームとその特徴について説明します。

グループホームとは?
  • 児童養護施設の種類の一つ
  • 施設の中で一番小規模
  • より家庭環境に近い施設形態

グループホームは、児童養護施設の中で最も小規模な施設形態です。大きな建物の中で、大きな部屋に大人数が一緒に生活するのではなく、小さいユニットに分かれて生活したり、小さな建物で少人数で生活する、家庭に近い形態が目指されています。

グループホームの特徴
  • 一軒家に、児童養護施設で暮らす子どもたちが生活
  • 子どもは縦割りで6人まで
  • 職員は住み込みや交代制で勤務
  • 地域の行事にも参加し、地域と関わり合いながら暮らす

グループホームは、いわゆる施設とは違い、地域にある普通の一軒家を使って生活します。そこで生活する子どもたちは多くても6人までとなっており、何年も同じ場所で暮らすことが多いです。年度によって、グループホームから本体施設へ移動する子どももいます。

職員は、グループホームの中の一部に住み込みで働く場合もあります。もしくは自宅から通勤し、いずれも交代勤務で働きます。

また、地域行事に関しても本体施設が大きなところだと、子どもたちの人数が多いため、施設の子は参加しないものもあります。しかし、グループホームでは子どもたちの人数が6人と少ない為、地域の細かい行事にも一緒に参加することができます。

また、縦割りであるため、同年代の子どもが6人いるわけではなく、幼児さんから高校生まで年代の違う子どもたちが合計で6人生活しています。なので、年代によって帰園時間や就寝時間などの生活リズムや過ごし方が違うので、それぞれが落ち着いて過ごせやすいです。

どんな子どもがグループホームで生活するの?

手を繋いでいる男の子と女の子

大人数の本体施設もある中で、どんな子どもがグループホームでの生活をすることになるのでしょうか?

グループホームで生活する子ども
  • 保護者との関わりが薄く、より職員との関わりが必要な子ども
  • 集団生活より少人数での生活の方が望ましいとされる子ども

本体施設で暮らす子どもたちよりも、より保護者との関わりが薄く、今後も保護者との関わりがあまり見込めない場合や、受けた心の傷が大きく精神的に不安定だったり、よりきめ細やかなケアが必要となる場合などです。

具体的には、保護者が既に亡くなっている場合や保護者が誰か分からない場合、または保護者自身が子どもとの関わりを望んでいないケースなどです。

または、集団生活に順応することが難しく、より個別に柔軟に対応することが必要な子どもが生活します。

グループホームのメリット

Meritと書かれたパズルのピースと虫眼鏡

グループホームは、普通の一軒家なので、リビング、キッチン、トイレ、お風呂、洗面所、居室などがそれぞれあります。なので、一般家庭が暮らすのと変わらない環境で生活することが出来ます。

子どもが6人で幼児さんから高校生までが生活しているので、例えば

  • 幼児さん 2人
  • 小学生 2人
  • 中学生 1人
  • 高校生 1人

こんな風に一緒に暮らす同年代がとても少ない状況になります。ユニット制でも、子どもが10人位いるところだと、

  • 幼児さん 2人
  • 小学生 4人
  • 中学生 3人
  • 高校生 1人

このように、同年代の子どもが増えます。また、年齢の低い子どもが多いと騒がしくなってしまいやすいです。そういった意味でも、人数が少なく、同年代の子どもが少ない方が落ち着いて過ごすことができます

幼児さんが寝たら小学生と関わったり、小学生が寝たら中学生や高校生と個別に関わる時間が取りやすいので、ゆっくり話をしたり、スキンシップを取ったり、困ったことを相談したりすることができます。

また、地域の中で暮らすので、地域の人とも関わり合いながら生活することができます。

グループホームのデメリット

Demeritと書かれたパズルのピースと虫眼鏡

グループホームは、子どもたちの人数も職員の数も少なく、それはメリットにもなりますが、デメリットにもなり得ます。

グループホームのデメリットは?
  • 閉鎖的になりやすいこと
  • 問題が外から発見しにくいこと
  • 嫌なことの声をあげにくいこと

少人数で小規模で生活することは、落ち着いて生活できるというメリットもありますが、その環境はより閉鎖的になりやすいという危険性もあります。

子ども同士の関係や職員との関係がよく、過ごしやすい環境になっていれば良いですが、一転して、子ども同士や職員との関係性が悪いと状況は悪化しやすいです。

大人数の子どもたちや、多くの職員の目がある施設と違って、グループホームは6人の子どもたちと1人の職員しかいません。職員は交代制で他の職員も出入りしますが、基本的に1人で勤務します。

周りよりも力を持った子どもや職員がいて、自分より立場の弱い誰かを思い通りに動かそうとした時、その行動はエスカレートしていきます。暮らしている子どもたち以外の他の人の目がないからです。

他の人に見られているからちゃんとする…それでは人に見られていないからいいという考えになってしまうので、それも困りますが、それでも行動の抑止力があるのは必要なことです。

その行動を止める人がおらず、誰も何も言えない力関係が出来てしまうと、それでは日常的に嫌な思いをしたり、我慢をしないといけない生活になってしまいます。

他の人に言いたくても、子どもたちはそこで生活しているので、自分が何か言ったことが知られることを恐れます。「ちゃんと話したことを受け止めてくれて、絶対に何とかしてくれる」という安心感がないと人に打ち明けることは難しいと思います。

そもそも、子ども同士の関係なら職員が間に介入して、ちゃんと話を聞いて、問題を整理して、どう対処、解決すればいいか考えていけばいいです。一番、問題なのはその問題となっている存在が職員自身の場合です。

大人であり、身の回りの世話をしている職員が理不尽な対応をするようになってしまった場合、子どもたちが自分の意見を言ったり、反発することは難しいです。

逆に言えば、職員も反発してくるような子にはそんな態度を取りません。言うことを聞いてくれる子だからこそ、自分の横暴を正当化して権力を振りかざすのです。そして、そんな声をあげにくい環境で起きている問題は日常化し、どんどん外から見えにくくなってしまいます。

だからこそ、子どもにとって何でも言える大人が必要だし、

  • 本当に子どもたちのことを考えられる職員の人材育成
  • 問題を施設全体で見逃さない姿勢
  • みんなで解決していく姿勢

が重要なんです。

なので、より家庭に近い環境で子どもたちが生活出来ることはメリットにもなりますが、そこの人間関係次第でデメリットにもなり得るので、注意が必要です。

ハード面(建物)だけでなく、ソフト面(信頼出来る人材)の環境も整備してこそ、グループホームの良さが引き出せるのだと思います。

職員が気を付けるべきこと

人差し指を立てた手

もう一つは、職員が働く上で気を付けるべき点についてです。まずは、

  • 閉鎖的になりやすいこと
  • 問題が隠れてしまいやすいこと

を自覚して、

  • 上下関係ができないようにすること
  • 子どもたちと同じ目線で関わること

を意識します。

他には、

  • 問題を一人で抱え込まないこと

です。本体施設では、何か困ったことがあった時に、建物の中に他の職員がいるので助けを求めること、人に頼ることが出来ます。しかし、グループホームは完全に独立した建物なので、その中には子どもたちと職員が1人しかいません。

何かあった時も自分一人で何とかするか、離れた本体施設に連絡して誰かに来てもらわないといけません。

施設によりますが、少なからず離れているし、本体施設にも子どもたちはいるので、その場を離れて来てもらうということは、その部屋の子どもたちを見る職員がいなくなるということです。

他にも子どもたちがいるのに職員を呼び出すのは気が引けるし、「自分が職員なのだから何とかしなきゃ」と思ってしまいやすいです。

その結果、一人で抱え込んでしまうのです。もちろん、複数の職員で勤務しているので次の日にでも、他の職員に報告したり相談することが必要です。

でも、自分の力不足のせいで問題が起きていると感じていたり、報告しにくいことだと、報告せずになかったことにしてしまう危険性もあります。そうなると、ますます問題が表面化しにくくなります。

なので、

  • 問題を一人で抱え込まないこと
  • 小さなことでも必ず報告すること
  • 勤務者全員で共有すること
  • 協力し合って解決すること

がとっても大事です。

また、複数の職員が同じ空間で勤務していると他の職員のやり方を見て学ぶことができます。ですが、グループホームでは、どうしたらいいのか分からない時でも一人なので、すぐに聞ける相手がいないことは特に働き始めたばかりの職員にとっては大変なことだと思います。

子どもたちは、新しい職員がどういう人なのかよく見ています。そして、子どもたちに対してどんな対応をするか試したりします。子どもによっては、わざと意地悪なことを言ったり、冷たい態度を取ったり、言うことを聞かなかったりすることもあります。

そんな困った時に「近くに誰かいてくれたら…」とは思いますが、まずは落ち着いて子どもたちと向き合うのが良いと思います。

その時は上手くいかなくても、そこからどうするかは自分次第です。他の職員とも相談し、子どもたちにどう対応していくのか、何を伝えていきたいのか考えていくことが大切だと思います。

そして、何か困ったことがあった時は、自分だけでは手に負えない場合や、子どもの安全に関わることの場合は他の職員を呼ぶなど決めておいたり、普段から子どもの対応を他の職員に相談しておくなど、事前の相談や情報共有が大事です。

今回は、グループホームについて紹介しました。次回は、グループホームより更に家庭に近い環境であるファミリーホームについて紹介したいと思います。

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