GAPという言葉を聞いたことがあるでしょうか?農業に従事している人は知っている人が多いかと思います。
でも、農業に携わっていない人にはまだ聞き慣れない言葉ではないでしょうか。このGAPは農家にだけ関係しているのではなく、消費者や環境、世界までにも関わりがあることなのです。
その内容について紹介したいと思います。GAPのことについて一人でも多くの人に知ってもらえると嬉しいです。
GAPとは?

GAPとは、Good Agricultural Practiceの頭文字の略で、直訳すると「いい農業の実践」となります。つまり、「適正な農業のやり方で生産しよう!」ということです。
GAPは生産者や消費者、環境にとっていい取り組みです。このGAPには細かな項目がたくさんあり、GAPに取り組むだけでもいいし、認証を取ることもできます。
GAPに取り組むことで、消費者や販売先からの信頼が得られたり、資材が整理整頓されることにより資材の在庫削減や従業員の意識改革ができるなどのメリットがあります。
GAPの5つの柱

GAPでは、次の5つの内容について取り組んでいます。
- 食品安全
- 環境保全
- 労働安全
- 人権保護
- 農場経営管理
GAPに取り組むことによって、例えば農薬の適正な使用・管理、異物の混入や収穫した農作物の保管方法など、食品の安全を見直すことになります。そのことによって、より安全な食材の提供につながり、安心して食品を購入することができます。
また、農薬による土壌汚染や使用期限が過ぎたり、使わなくなった農薬などの廃棄物の正しい処理方法や適切な土壌管理などの環境保全を意識することで、環境への影響も見直します。
危険な作業を把握したり、必要な保護具を付けたり、機械の適切な使用などを気を付ける必要があります。また、危険なものが放置されていないかや、劣化している建物や機械、設備を点検することにより、安全を確保できます。
また、労働者の労働条件を見直し、適正な賃金が支払われているか、過度な労働をさせていないかなどもチェックできます。GAPの項目は本当に細かくたくさんあるので、見てみたい人は農林水産省のサイトを参照してみてください。
効率がよくなり、生産性が上がる

5sという言葉を知っているでしょうか?5sとは、整理、整頓、清掃、清潔、しつけのことです。
- 整理…必要なものと不要なものを分け、いらないものを処分する
- 整頓…ものを決められた場所に置く
- 清掃…身の回りや職場の中を掃除し、綺麗な状態にする
- 清潔…整理・整頓・清掃を維持して職場の衛生を保つ
- しつけ…決められたルールを守って実行すように習慣づける
この5sを実践するだけで、作業の効率化やリスクの軽減が図れます。
必要なものだけを置くようにすることで、スペースを有効に利用することができ、決められた場所にものを置くことで、どこに何が置かれているのかが明確になり、使いたい時に使いたいものをすぐに見つけることができます。
清掃をこまめにすることでいつも綺麗な状態が保て、整理・整頓・清掃を維持して決められたルールを守る習慣をつければ、日々の作業に無駄がなく、生産性も上がっていきます。
作物が安全に作られた証

GAPに取り組むことでそういった作業の効率化が図れるだけでなく、GAPの認証を得ることで、消費者や販売先などの信頼を得ることができます。
農家は会社として経営しているところもありますが、個人事業者であることが多く、その作物の作り方や在庫や資材の管理方法などはそれぞれのやり方でやっています。
その中で、使用期限の切れた農薬や肥料を使っていたり、作物を作る上で十分に安全に気をつけられているかどうかは生産者にしか分かりません。
それでも、日本の衛生レベルは高いので安全で安心、新鮮なものが市場に出回っているのだと思います。それでも、GAPに取り組むことでよりしっかりと安全や環境に配慮した農業ができます。
GAPには、いくつか種類がありますが、海外に輸出しようと思うと世界に認められるグローバルGAPというものの取得が必要になります。それだけ、GAPは世界に作物を提供する際にも安全だという指標になるということです。
そのGAPの認証がある農家の作物なら、日本でもさらに安心して購入したり食べたりできるのではないでしょうか。
GAPはオリンピックに関係している?!

最近、GAPの重要性が高まり注目されてきている要因があります。それは、2021年に行われる予定の東京オリンピック・パラリンピックの選手村食堂で使用される食材にはGAPの認証があるものに指定すると政府が決めたからです。
先ほども話したように、海外への輸出にはグローバルGAPという日本国内のJGAPというものより、さらにレベルの高い認証が必要になります。
オリンピック・パラリンピックを開催するにあたって、海外から多くの選手が来日して選手村で食事をすることになります。
その際に、世界中の選手に提供できるレベルの食材を使用するためにGAP認証されているものを使用することにしたのだと思います。
SDGsに繋がる

GAPに取り組むことで、食品安全や環境保全、労働安全、人権保護などの意識が向上します。それは、SDGsにも繋がり、世界規模で取り組むべき課題に貢献できるということでもあります。
人間が生活し、文化や技術が発展していく一方、人によって環境が破壊されたり問題が起きています。
それぞれの職場や個人レベルで、あらゆる人や自然、動物などの生き物が豊かな状態で共存できるように考えていかなくてはいけないのだと思います。
四方よし

まだまだGAPに取り組んだり、GAPの認証を取得している農家は全国でも多くはありません。でも、このGAPが今後世間的にも多く知られるようになることで、GAPの必要性が高まっていくと思います。
そうして全国的にもGAP認証している農家が増えていけば、農業のレベルもより高くなると思います。さらに、GAPに取り組むことによって、三方よしならぬ四方よしが可能になります。
「買い手(相手)よし」「売り手(自分)よし」「世間(みんな)よし」にプラスして「環境よし」の四方よしの精神で、みんなが笑えるみんながハッピーになれる世界を目指していけたらいいなと思います。
わが家もこのGAP認証の取得を目指して、ひとつひとつ取り組んでいきます。まずは、農薬を保管するための農薬庫を作ることにしました。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました^^ 次回もぜひ読んでもらえると嬉しいです♪
農薬庫を作ってみた記事はこちら▽
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