農家から施設出身の子どもたちへ野菜を届けて、繋がるバトン

野菜が入った箱を持つ人 子どもの福祉

現在、農家をしている中で「余った野菜を施設出身の子どもたちに送りたい!」と思い、そう思った経緯などを以前に紹介しました。

自分にできることは小さなことかも知れませんが「できることから始めてみよう!」と思い、子どもたちに連絡を取ったり準備を始めました。

そしてこの秋、子どもたちや施設に無事に野菜を届けることができました。そのことで喜んでもらえたり、また別の人に繋がっていったり、思いがけない繋がりも生まれました。

「やってみよう!」と行動したからこそ、状況も変わっていったのだと思います。今回は、そんなお話を紹介したいと思います。

野菜を送る

机に置かれたカラフルな野菜

わたしは以前、事情があって家庭で生活することができない子どもたちが暮らす児童養護施設で働いていました。

その後、海外のボランティアに参加したり、別の児童養護施設に勤めたりして、今は北海道の農家の嫁として暮らしています。

施設を出た子どもたちへ、子どもたちが施設を出たり、職員が施設を退職したら切れてしまう縁ではなく、遠く離れた場所からでも「応援しているよ」の気持ちを伝えたくて、野菜を送ることにしました。

農家の野菜事情

土に埋まっている大根

農家では、出荷できない野菜や人にあげるために置いてある野菜がたくさんにあったりします。しかし人に送ったり、近所の人におすそ分けしても、最終的には食べきれず、大量に余ってダメにしてしまいます。

野菜の量が多いので、大きな倉庫の中の出来るだけ寒くならない場所に置いていますが、冬になると寒くて凍ったり、腐ってしまったり、ネズミに食べられたりしてしまいます。

せっかく作った野菜であったり、人からいただいた野菜を食べられず、ダメにしてしまうのは本当にもったいなく、どうにかできないかなと思っていました。

そんな時、「施設出身の子どもたちに何かできないかな?」という話を友人にしたところ、「農家の野菜を送るのはどうか?」と提案してもらったのでした。

それは、子どもたちに連絡を取って繋がるきっかけになり、野菜を送って応援する気持ちを伝えたり、野菜を喜んでくれる人に食べてもらうことまでできる!ということで、野菜を送ることにしました。

繋がるバトン

手のひらを合わせる子どもの手

秋に作物を収穫した後、段ボールを準備して野菜を送る準備を始めました。その前に連絡の取れる子に「野菜を送ってもいい?」と確認しました。

何人かに連絡し、送ることになった子もいれば、「自炊をしないから遠慮しておくね」と言う子もいました。

やはり一人暮らしだと、自分のためになかなか自炊をしなかったりするので、主に結婚していたり、子どもがいる家庭の子に送ることになりました。

野菜を送った子の周りにいる「野菜がほしい」という子をまた紹介してもらい、連絡を取って野菜を送り、またその子から別の子を紹介してもらい…と何人かと新たに繋がることができました。

また、昔からの先輩の繋がりがきっかけになり、学生時代にお世話になった2ヶ所の施設にも野菜を送ることができました。

そして、わざわざお礼の電話や手紙をいただき、施設の利用者さんやそこで働くスタッフの方、地域の方にも喜んでいただけたとのことでした。

子どもたちの今

隣り合って座っている男女

わたしが野菜を送ったのは、すべて施設出身の子で、わたしが働いていた時に関わったことのある子どもたちです。

これまで、わたしは施設を退職してから子どもたちと個人的に連絡を取ったり、関わったりはほとんどしていませんでした。

そんなみんなと連絡を取ることができて、近況を聞いたり、話をしたりできたことが嬉しくて、その成長やたくましく生きていることに心強さも感じました。

家庭環境や施設での暮らしはお世辞にも良かったとは言えない中でも強く生き、今は自分の居場所を見つけ、働いたり、パートナーを見つけて一緒に生きていたりします。

結婚式をしたり、結婚式を控えていたり、子どもが生まれていたり…それぞれがもう大人として、父として母として、夫や妻として立派に生活していました。

野菜を送る関係で、連絡を取ったほとんどの子が既婚者だったのですが、みんなが元気に、そして幸せそうに暮らしていることが知れて本当に嬉しかったです。

聞けた気持ち

開かれた窓と手の上のハート

すでに野菜を送った子から紹介してもらった子の中には、「こういう縁がなかったら絶対に繋がることはなかっただろうな」と思う子もいました。

関わりが深かったり、よく話をした子どもではなく、思春期ということもあり、あまり個人的に関わったことのなかった子です。それでも、他の子を通して繋がることができ、「久しぶりに話したい」と言ってくれました。

深く関わっていなかったことと、久しぶりすぎて緊張してしまいましたが、「話したい」と思ってくれたその気持ちが嬉しくて、勇気を出して電話してみることにしました。

施設を出てからもう10年近く経っていたその子は、一緒に生きていくパートナーを見つけ、入籍していました。

学校を卒業してから、いろんな仕事をして、人間関係はもちろん、お金を稼ぐこと、お店を経営することなどたくさんの経験を積んだようでした。

そうした経験を積んだその子は、見違えるほど、ぐっと大人になっていました。落ち着いていて、自分の考えもしっかり持っていて、芯の通ったかっこいい大人になっていました。

その子と、施設にいた頃の話をたくさんしました。当時、理不尽な圧力や暴力が実際にあり、その被害にあった子はたくさんいました。そのことでわたし自身も悩んでいました。

当時のことを、職員としてではなく、一人の人間として子どもと話せたことはなく、この電話をした時に初めてそのことを子どもと話すことができました。

当時、どんな状況だったのか、どんな気持ちだったのか、それをどう思っていたのかなどを話してくれました。

報われた思い

白いノートに書かれた赤いハートの絵

理不尽な力が子どもたちの心に傷を残し、人生に暗い影を落としたことは決して許されることではありませんが、子どもたちは立ち止まってはいませんでした。

それを乗り越えて、今を強く生きています。大人になって、初めて施設の職員とはどういうものだったか振り返って「大変だったんだな」と、こちらの苦労も分かってくれたようでした。

そもそも、見返りを求めてやる仕事ではないですが、こうして大人になっていつか「こうだったんだなぁ」と振り返ってもらえて、当時のたくさんの苦労が報われる思いでした。

そんな言葉を聞けるなんて、こうしてかつての子どもたちと語り合えるなんて思ってもいませんでした。

こうして繋がれたことが本当に嬉しくて、子どもたちがこれからも元気に笑って暮らしていけるように、ただただ幸せを願って、これからも応援し続けていこうと思います^^

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