子どもの施設で働いている人には、日々たくさんの苦労があることと思います。
子どもたちは可愛くとも、子どもや職員、施設自体の問題など課題は山積みで本当に大変な仕事ですよね。
「子どもたちの笑顔のために働きたい!」と思っているけれど、「何だかうまくいかない…」ということもあるのではないでしょうか?
ここでは、児童養護施設で6年間働いたわたしが経験したことや学んだことを紹介したいと思います。
組織で働く中では施設のルールや常識など、他人の価値観で判断してしまっていることが少なくありません。
でも、その決まったことに流されず自分の頭や自分の価値観で考えることがとても重要です。
そして「何かおかしいな?」と感じることができると、本当に目指したい方向が見えてくると思います。
それが、子どもたちの心からの笑顔に繋がるのだと思っています^^

悩んでいる人はぜひ最後まで読んでみてくださいね!
子どもの目線に立つことが大切

子どもの施設で働く上では、大人目線や職員の視点でなく、子どもの目線に立つことが大事です。
施設では、食事や掃除、洗濯などの生活に必要な家事を職員が担うので、職員なしでは子どもたちは困ってしまいます。
さらに、大人と子どもという立場からどちらが偉いということはなくても、なんとなく上下関係もできてしまいやすいです。
権力や発言力、影響力の強い職員のことを子どもたちは敏感に察知します。そして、そういう職員とうまく付き合うことの重要性がよく分かっています。
子どもたちは施設の中で、上手に生き抜くために人の機嫌を取ったり、自分の思いとは違っても強い人に合わせることを学びながら生活しています
そういうスキルはいずれ社会に出た時に必要になってしまうのかもしれませんが、間違いなく子どものうちから、しかも生活の中で経験すべきことではありません。
子どもに余計な気を遣わせたり、気持ちを押し殺したりする必要がないようにしなくてはいけません。
当たり前に子どもが子どもらしく、安心して生活できる環境を作ることが仕事であり、そうできない環境であればそれは職員の責任です。
大人だから、職員だから偉いということは決してありません。施設のルールだから正しいということもありません。ただ、過去にそう決まって今も続いているだけです。
そういう施設の中で常識になっているものに惑わされず、子どもの目線に立って「これって本当に必要?」「これってこのままでいいの?」と疑問を持って考えることが大切だと思います。

自分の価値観で考えよう!
子どもが何かを訴えてきた時にも、「ダメ」とか「決まりだから」と一蹴するのでなく、ちゃんと向き合って考えることが大事です!
子どもとの関係作りの難しさ

施設で働く上で、子どもたちと信頼関係を築いていくことはとっても大事です。
と同時にとても難しくもあります。みんなそれぞれいろんな事情で家庭から施設に来ています。心や体にうけた傷は簡単にはなくなりません。
みんな笑って元気に暮らしてはいますが、心から大人を信じるというのは簡単ではないように思います。
職員をわざと試すような、困らせるような行動もするし、言うことを聞いてくれないこともたくさんあります。
子どもたちの中で、「この人は本当に信頼できる?」ということを試しているのだと思います。
特に、そんな中で職員の目線で物事を決めつけたり、子どもたちの気持ちを真摯に聞けない・考えられないと子どもとの関係を築くのは困難です。
でも、子どもの話だけを聞いていればいいのかというとそうでもなく、組織に属している以上、他の職員たちとの関係もあります。
施設のやり方を無視して一人勝手なことをしてしまうと、周りからバッシングされてしまうこともあるかもしれません。
そうでなくとも、みんなが同じ方向を向いてやっていることに疑問を投げかけたり、異議を唱えることはものすごく勇気のいることです。
それでも、施設のしきたりや慣習、規則にただ従うよりも、子どものことを一番に考えることが何より大切だったのだと、改めて思います。
施設ありきの子どもたちでなく、子どもたちありきの施設です。子どもたちにとって信頼できる職員がいる、安心する場所にならなくては意味がありません。

何のための施設なのか考えてみよう!
学びと気付き

社会人となって、わたしが強く意識していたのは「職員としてちゃんと働く」ということでした。
施設の決まりを守って、ちゃんと子どもたちに接することで頭がいっぱいで、施設の考えや先輩職員のやり方に疑問を持つことはありませんでした。
昔から真面目で、人の話を素直に聞く性格だったのですが、それが良くも悪くも施設色に染まってしまうことになりました。
ここでは、施設で働いた6年の間に経験したことやそこから学んだこと・気付きについて具体的に紹介したいと思います。

ぜひ参考にしてみてください!
職員が正しいと決めつける

生活していると、子どもたちは職員に対して、また職員は子どもたちに対して不満に思うことも出てきます。
そこにはどちらにも言い分があって、どちらにも腹を立てる理由がちゃんとあります。どちらかだけが100%悪いというよりは、どちらにも非や原因があることが多いです。
しかし「新人の職員は子どもの言うままになりやすい」「職員として毅然とした態度で子どもに対応する」ことが求められているように感じていました。
なので「職員としてこうあるべき」という考えで、職員が正しく、子どもたちが悪いと決めつけて、子どもたちの気持ちや言い分を聞こうとしていなかったな、と反省することがありました。
当時のわたしの感覚としては、それは意地悪で言ったわけではなく、自分が正しいと思うことを伝えたつもりでした。
でも今、振り返ってみると「何も分かっていなかったなぁ…」と思います。
仮に、その時子どもたちの主張や言い分、やったことに筋が通っていなかったり、悪いことだったとしても、子どもたちが嫌な思いをしたことは事実です。
そして、子どもたちが不満を募らせるには職員側にも何かしら必ず原因があります。お互いに思うところがあり、どちらにも譲れない部分があって、それがぶつかったのです。
職員だから何をしても、何を言ってもいいわけではないので、職員側にも振り返るべき点は十分にあったと思います。お互いに話を聞いて振り返ることが大事ですね。
どうしたら良かったか?
この時、わたしは正論をぶつけるのでなく、子どもたちの気持ちをただ聞くべきだったなぁと思います。
その後に自分なりの気持ちを伝えてもいいですが、何よりも子どもたちの言い分、腹の立つ気持ちを最後まで全部聞いて、受け止めるべきでした。
これはとっても大事なことですが、当時そうだと気付いていないわたしは、最初から子どもたちと関係を築いていくために大事なきっかけを逃していたのでした。
周りの目や評価を気にする

子ども同士のトラブルや暴力、子どもの問題行動などがあった時、それに対応する職員はそれを解決しようとします。
しかし、施設の中では職員の見えないところで複雑な上下関係ができていて、ただ見えている範囲で止めていても、根本的な問題解決はできません。
そういった問題を本当に解決することは難しく、周りに相談しつつも、何をどうしていいのか分からない状態でした。
効果的な解決ができないまま、わたしは問題の根本的な解決よりも周りの職員の目や評価を気にして、問題の表面しか見ていませんでした。

職員としてどうするのが正解だろう…
問題を何とか収めることしか頭になく、問題が起こっては何とかそれに対処するだけでいっぱいいっぱいでした。
わたしは、ただ問題を収めたいだけで、本気で子どもと向き合うということができていなかったのだと思います。
なので、わたしの言葉や気持ちは何も伝わらず、響かず、繰り返すことになってしまったのでした。
どうすれば良かったか?
当時のわたしには、子どもが抱えている心の中の問題や苦しさについて考える余裕がありませんでした。
でも、「子どもがなぜそれをするのか?」「何を求めているのか?」という問題の本質に気付くことが何より大切でした。
周りにどう思われるか、何を言われるかという他の職員による自分の評価を気にするのではなく、「目の前の子ども」に焦点を絞るべきでした。
自分がよく評価されるためではなく、周りの余計なことは取っ払い、「子どものために何が必要か」をとことん突き詰めて考えることが必要でした。
子どもと本心でぶつかる

そして、その次に大事だったのは本心でぶつかることでした。職員として建前だけで話をしても、子どもたちの心には響きません。
子どもと真正面から向き合うこと、そして本心でぶつかることが大切でした。
職員としての建前ではなく、自分の中から溢れ出た本当の気持ち、本当に伝えたいことをぶつけることが子どもの本当の気持ちを聞くために、必要だったと思います。
守るべき子どもを守れない

問題を起こす子どもがいる一方、そこに巻き込まれてしまう子どもたちもいます。
関わりたくないのに巻き込まれて嫌な思いをしてしまう子どもたちがいて、何も悪くない子どもが辛い思いをすることは絶対に避けなければいけません。
子どもを守るのは職員の仕事です。どんな子どもにも事情があり、抱えているものがありますが、一人ひとりと向き合って、形の上だけではない本当の問題解決や寄り添いが必要です。
難しい問題にぶつかった時も、それに振り回されずまず一番守らなければいけない子どもを守り、問題から逃げずに子どもと真正面からぶつかることが必要だと思います。
なぜ起こったのか?

こうした大事なことに気付けなかったのはなぜだったのでしょうか?
それはこんな要素があったからではないかと思っています。
まず、わたしがもともとそういう視点を持ち合わせていなかったこと。
最初からそういう視点を持てていれば良かったですが、そうでなかったので郷に入れば郷に従えの精神で、長い物に巻かれることになってしまいました。
でも、新社会人として就職して「こういうもんだよ」と教えられる施設の常識を信じてしまうことは、ある程度仕方のないことだったかなと思います。
次に、それを教えてくれる人がいなかったこと、全体的にそういう環境だったこと。
子ども第一ではなく、職員の都合で物事が決まることが多く、全体的にそういうやり方に疑問を持たない人が多かったように思います。
疑問を持っていても、現状を変えるために問題提起をする人はいませんでした。
そして、そういう環境にいることでわたし自身もそれに疑問を持たずにやってきてしまいました。

もっとちゃんと自分の頭で、広い視野を持って考えれば良かった…
でも、いろんな失敗や間違いを経験したからこそ、本当に大事なことに気付くことができました。
これは、その後の自分の生き方や今の自分の子育てにも大きく影響しています。この経験をさせてくれた施設と子どもたちには感謝しています。
まとめ

わたしが6年間働いた中で経験した失敗談とどうすれば良かったのか?ということを紹介しました。
失敗談は以下の通りです。
子どもの言い分も聞かずに決めつけるのはご法度です。むしろ、まず第一に子どもの気持ちや言い分を口を挟まず、最後まで聞くことが大切です。
また、周りの評価を気にしてしまうと、大事なことが見えなくなってしまいます。この場合、一番大切な「子どものことを一番に考える」という視点が抜け落ちてしまいました。
周りの職員から評価されるために働いているわけではありません。子どもたちが安全で心から安心して、自分らしく生活できる環境を作るために働いていることを忘れてはいけません。
そして、何か困ったことが起こったら、表面に見えている問題だけでなく、「なぜそれが起こったのか?」という視点を持って、隠れた問題の本質に気付くことが大事です。
そして、真正面から子どもと向き合い、本心でぶつかることで初めて、ちゃんと子どもの気持ちを知ることができたり、問題の本質が見えたりします。
そして、本当に守らなければいけない子どもを間違えないこと。
守らなくていい子どもなんていませんが、何の非もなくちゃんとルールを守って生活している子が、大変な子に巻き込まれたり、安全で安心した生活が送れなくなることは絶対に避けなければいけません。
この一つひとつがすごーーーく大切なことだったのだと痛感しています。
このことはたくさん失敗したり、悩んだり、苦しい中でもがく経験をしたからこそ気付けたものだったと思います。
ぜひ、この失敗談と気付きを参考にして、ご自身の働き方、子どもとの関わり方や向き合い方に生かしてみてください^^
このことが、誰か一人でも悩んでいる人の解決のヒントになれば嬉しいです!
最後に。次の夢へ

わたし自身も子どものことや職員関係など、たくさん悩んだり大変なこともありました。
でも、それ以上に嫌な思いや辛い思い、苦しい思いをさせてしまった子どもたちのことを考えると今でも申し訳ない気持ちになります。
この気持ちを後悔として引きずるのではなく、子どもたちが教えてくれたことを今やこれからに最大限生かすことが今の自分にできることだと思っています。
子どもたちと過ごした思い出や経験を胸に、これからも物事の本質を見抜く力を磨きつつ、いろんな角度から物事を見られるようにしたいなと思います。
自分らしく、子どもの気持ちを大事にする子育てをしていきたいなと思います。
そして、この経験をもとにいつか、「みんなが心から笑って暮らせるグループホームを作りたい!」と思っています。
越えなければいけないハードルはありますが、「どうしたら実現できるのか?」を考え、今できることから始めています。
実現した暁には、考えに共感していただける方はぜひ一緒に働きましょう^^!!

「子どもたちのために何ができるか?」を考える活動をしています!興味のある方はコメントくださいね♪
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