さまざまな事情により、家庭で生活することができない子どもたちが暮らす場所が児童養護施設です。でも、子どもたちは原則18歳を過ぎたらその児童養護施設から出て、自立していかなければなりません。
18歳になった子どもたちが社会に出たり、一人暮らしをして生きていくには、いろんなハードルやたくさんの不安があります。
そんな子どもたちと繋がっていくために、連絡を取る中で見えてきたことがありました。
子どもたちのその後

わたしは児童養護施設で働いた経験から、退職した今でも子どもたちに何かできないかと考えてきました。
その中で、農家であることを生かし野菜を送るという形で応援したり、必要としている人には無条件で野菜を送ることで困っている人と繋がっていきたいと思っていました。
そこで、途切れてしまっていた子どもたちと繋がろうと連絡を取る中で気付いたことがありました。それは、「子どもたちは子どものままではない」ということ。
当たり前ですね(笑)わたしの中では、子どもたちの姿や立ち振る舞いは当時勤めていたころのままで止まっています。
子どもっぽかったり、無邪気だったり、幼かったりした姿や表情が浮かんできます。でも、それから何年も経って子どもたちはもはや子どもではなく大人になっています。
もう働いていたり、自動車免許を取って車を運転していたり、結婚していたり、子どもができていたり…。
会社の一員だったり、誰かにとっての妻や夫だったり、誰かにとっての母親や父親になって、新しい世界の中で生きています。
時間が流れる中でいろんな人と出会い、そこで新たな人間関係や家庭を築いたり、仕事をしたりしてたくさんの経験を積んでいるんですね。
仕事や人間関係で悩むこともたくさんあると思いますが、その中で悩みもがきながらも、成長したり前に進んでいるんだなぁとしみじみと感じています。
たくましい子どもたち

施設にいるころは、わがままだったり、控えめだったり、または施設の中では自由にしていても、外に出ると大人しかったり…いろんな性格の子がいます。
でも、施設を出て自分の力で生きていかなければならなくなったとき、きっと不安もある中でそれでも勇気を出して1歩1歩を踏み出し続けてきたんだろうなぁと思います。
役所に必要な手続きに行ったり、困ったことがあったら相談しに行ったり、自分の子どもの通院に行ったり…。
当たり前のことのようですが、施設にいるころはすべて職員がやっていたので、そういうことを自分で考えてできるようになったんだと思うと、もうちゃんと自立して生きてるんだなと思いました。
今、笑っているからと言って楽しいことばかりあったわけではありません。辛いことや悲しいこともたくさんその身に降りかかっています。
それでも何とか生きていかなくちゃいけない、負けてられない、と踏ん張って乗り越えていくその姿にたくましさを感じました。
わたしが思っていたよりもずっと、子どもたちは強く生きていました。そのことにホッとしたとともに、心強くも感じました。そんな子どもたちの姿を嬉しく、微笑ましく見ています^^
一人でも多くの子どもたちがそうして、いろんなことを乗り越えながら前を向いて生きていけたらいいなと思います。
繋がっていくこと

それでも、いつも前ばかりを向けるわけではないし、辛い出来事を乗り越えられる子ばかりでもありません。
大人でも一緒ですよね。乗り越えていくためには時間がかかったり、乗り越えられずトラウマになってしまったり…。
そうした中で、少しでも多くの施設出身の子どもたちが「どこで何をしているのか分からない状態」から、「ここでこうして生きていることが分かる状態」にできればいいなと思います。
子どもたちはもう自分の人生を生きているので、その生き方をとやかく言うつもりはありません。応援すること、見守ること、必要なときがあれば相談に乗ったり話を聞くことができればと思っています。
わたしはもう職員ではないし、子どもたちももう子どもではありません。「まだまだ子どもだから…」なんて思わず、今は大人同士、一人の人間として子どもたちと向き合っていきたいなと思います。
ささやかな応援をしながら、どんな子にも「生きてるだけでOK!」のメッセージを送っていきたいと思います。
そして、その輪が広がって子どもたちの元気そうな姿を少しでも見られたら嬉しいなと思います。これから、一人でも多くの子どもたちが楽しく生きていけるための応援団として活動していきたいと思います^^
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